不快の理由を探る
あなたの感想が「不快」=なにか際立って嫌なものがあったとき。その感情を抱いた原因を考えてみましょう。やるべきは、次の2点に心当たりがないか考えることです。
① 自分の(嫌な)体験との共通点を探す
② (自分が既に)嫌いなものとの共通点を探す
好みにも元ネタがあるように、嫌いなものにも元ネタがある。だって、なにもないところに「不快!」なんて感情は、突然湧き立ちませんから。「なんかこれ、すごい心がざわつく、嫌だ〜!」ってわざわざ思うとき、そこにはなにかしらの原体験があるはずです。
不快の理由がフィクションのキャラクターだったり、人のエピソードだったりしたら、現実の体験かもしれない。あるいは衣装の色だったり物語の結末だったりする場合は、既に知っているもので同じく嫌いなものがあるかもしれない。「うーん、自分ってこういうパターンが嫌いなのか」とぜひ嫌いなものの共通項を言語化してみてください。
ちなみに私の場合は、「世界と君のどちらを救うか決めろ‼」みたいな物語パターンがすごく苦手なんですよ。そういう選択肢がでてきた時点で「うげっ」てなってしまう。これにネガティブな感情を抱いてしまうのは、「主人公がわりといろんなことに無自覚であることが許されている」状況が苦手だからなんですね。
だって世界か君かのどちらかを選べだなんて、「世界」に含まれるいろいろな影響をしっかり理解しようとしていないように見える。そういう無自覚性みたいなものが許されている世界が……ああ苦手……と感じてしまうんです。
で、無自覚さが苦手、という共通項を考えると「あーあのキャラも私は無自覚さが苦手なんだ」と思い至ることがあり、そこからずるずると自分の現実での体験も思い出す……みたいなことをやります。
はい、面倒な作業でしょう。「嫌い」を言語化すること。
「好き」よりも「嫌い」を言語化するほうが、よっぽど困難な道のりなんですよ。
退屈の理由を探る
さて、ネガティブな感情が「退屈」だった場合。
つまり、どこの場面が嫌だとか、どのキャラクターが好きじゃないとか、あの衣装が嫌だとか、そういう際立った不快さが存在するわけじゃない場合。ただただ、意外性がなく、面白さを見出せずに退屈だった場合。
あなたは退屈の原因として「どこがありきたりだったのか」を考える必要があります。
そう、ここでも重要なのは具体的であること。決して全体的に退屈だったという結論で終わらせるのではなく、どの要素がありきたりに思えたのかを考えましょう。
物語であれば、キャラクターが凡庸なのか、ラストがいかにも予想の範疇だったのか、セリフが普通すぎたのか。あるいは、人であれば、どの要素が自分にとってありきたりだと思えるのか。
全体的になんとなく退屈、なんて誰にでも言えます。そうではなくて、一体どこが退屈なのか、その要素を洗いだしてみるんです。それによってあなたの感想はあなたにしか書けないものになります。
ポジティブな感情もネガティブな感情も、とにかく具体的に細分化すること。それがい
い言語化の鍵になります。