危険すぎるトランプ政権の「同盟国への罰金」政策…ではハリス民主党政権ならば日本にとってお得だったのか?
トランプの米大統領復帰が決定したことを受け、各報道機関が様々な懸念を表明している。しかし、今回の大統領選の結果から、もうひとつ問われなければならないのは果たして「民主党政権の継続ならばよかったのか」という点だ。
経済学者の大西広氏の書籍『反米の選択 トランプ再来で増大する“従属”のコスト』より一部抜粋・再構成し、解説する。
反米の選択 トランプ再来で増大する”従属”のコスト #1
「民主党の善悪観」を鵜呑みにしてはならない
だが、アメリカが「世界の正義」としてやってきたことは殆どすべてがその真反対のものであった。
「民主主義の庇護者」を自称してアメリカは中東やウクライナに民主主義を導入したが、多数派宗教と少数派宗教が国内で激しく対立している国(ユーゴスラビアやアフガン、イラクやシリア)や多数派民族と少数派民族が国内で激しく対立している国(その典型がウクライナ)に多数決民主主義を導入してもそこで社会分裂と内戦しかもたらされなかったことを我々は知っているからである。
もっと言うと、たとえば民主党政権が在韓米軍を維持・強化してきたこと自体、それが朝鮮半島の緊張関係を少しも緩和できなかったのだから、それを肯定的に評価できない。
第1期トランプがやったことは、この緊張関係自体を壊そうとし、金正恩との2度の会談を行ったのもそのためであった。
私から見れば、この意味で第1期トランプがやっていたことの方がよほど「世界の正義」に合致する。バイデン=ハリスやアメリカ民主党の善悪観をそのまま鵜吞みにしてはならないのである。
写真/shutterstock
反米の選択 トランプ再来で増大する”従属”のコスト(ワニブックスPLUS新書)
大西 広
2024/11/29
1,045円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4847067105
《緊急出版》
ドナルド・トランプ氏の大統領「再登板」により、アメリカから日本への要求はエスカレートする! 25年以降、日本はどのように振り回されてしまうのか――
・ドル円レートはトランプに握られる
・日本の軍事予算「対GDP比倍化」の約束が厳格なものとなる
・日本人が外国人の「使用人」となる未来
・「対米従属」の結果潰されてきた日本の産業たち
・アメリカが「衰退の一途を辿っている」といえる理由
など、決して私たち一般の日本国民にも無関係ではない米大統領の交代について、過去のアメリカによる「日本経済破壊の歴史」を交えて徹底的に分析し、私たち一人ひとりが自立するための方法を提言する一冊。