風穴をこじ開けたのは岡山県警の執念か
勝田容疑者は2007年10月16日午後6時過ぎ、加古川市内の路上で柚希ちゃんの胸や腹を刃物で刺し、失血死させた疑いがある。
柚希ちゃんはその日、下校後に近くの公園で友達と遊び、門限が近づいたため急いで帰宅しようとしていた。勝田容疑者は、柚希ちゃんが裏口に自転車を停め、徒歩で玄関に向かうわずかな間隙を狙った。
悲鳴を聞いて姉や妹、母、祖母が飛び出したとき、柚希ちゃんは立ったまま「痛い、痛い」と泣いていた。病院に運ばれる救急車の中で柚希ちゃんが「おとなの男の人に、たたかれた」と最後のメッセージを残したのは、刃物で刺されたと認識できないほど瞬時の、勝田容疑者の「手慣れた」犯行だった証左だろう。
その前年の2006年9月には、同じ兵庫県西部の播州地区・たつの市の路上で塾から自転車で帰宅途中の小4女児が胸などを刺され重傷を負った殺人未遂事件があったが、県警は両事件の捜査で勝田容疑者を絞り込むことができなかった。
そして2009年、姫路市で6歳女児の腹を殴ったとして逮捕され、2015年には同市で14歳の女子中学生の腹を刃物で刺して殺人未遂容疑で逮捕された勝田容疑者は、懲役10年の実刑判決を受けた。
この事件の受刑中、捜査は一気に進んだ。風穴をこじ開けたのは岡山県警の執念だった。