自分の感性を信用したものづくり

――テレビドラマの脚本も書かれていますが、それもテレビが好きだから?

そうですね。個人的にドラマはもともと見なかったのですが、脚本を書く分にはテレビドラマは楽しいです。

毎週同じ時間に楽しみに待ってくれている視聴者がいて、翌日その話題で盛り上がったりとか、現場で一緒になったメイクさんから考察なんかを聞いたりして、それを受けて脚本をちょっと変えてみたり、そういうのが楽しい。

映画とか配信ドラマだと、反応を受けて書き換えたりできないじゃないですか。なので、これからは配信ドラマの時代だとか言われても、必ずしもそうとは思いません。観ている人の数がどうということではなく、僕にとっての作る醍醐味は、連続ドラマのほうに多いと思っているので。

もっと言うと、テレビが時代遅れとか古いとかって言われることがありますけど、それってあくまでメディアの種類の問題で、内容の問題ではないですから。

テレビだから古いとか、配信ドラマだから新しいとかって、内容は関係ないじゃないですか。テレビにも新しい感性の番組はあるし、配信ドラマにだって古い感性の作品はある。むしろ、前のめりで必死に流行を取り入れようとすることの方がセンスないと個人的には思っています。

僕は自分の感性を信用してものづくりをしているので、いまだにテレビでやってるなんて古いと言われてもなんとも思わないです。

取材時間ギリギリまでテレビ愛を語ってくれた
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続ける番組、続けなくていい番組

――バラエティ番組をはじめ、表現などの規制については、どう感じていますか?

過激なことをやっているから攻めてる、尖ってるという見方は、僕の中ではっきり間違いだと思っています。お笑いの感覚的に攻めてるかどうかの方が大事だと思います。

僕の中には割と明確な基準がちゃんとあるので、そこはブレずにこの先もやっていきたいと思ってます。

――より数字を求められる状況になり、志はあったとしても、それだけではなかなか番組を長く続けることが難しくなってきていると思うのですが、そのあたりについては?

番組によって、とにかく続けることが最大の目的の場合と、なにかを妥協しておもしろくなくなるくらいなら続けなくていいやっていう場合と、いろいろあると思います。

もし続けることがなによりの優先事項だとしたら、スタッフや出演者があんまりおもしろいと思えない改編だとしても、続けるために仕方なく受け入れる、というパターンはあります。

そういう意味で『私のバカせまい史』は、もちろん続いてくれたらうれしいですが、僕の中では形を変えておもしろさを損なってまで続けることが最優先の番組ではないと思うので、最悪、いつ終わっても後悔がないように、全力を出し尽くそうと思っています。

これはもう番組を立ち上げたときに、この番組の趣旨は守り抜きたいと思えたいい番組なので、最後まで自分がやれてよかったなと思えるように、振り返ったときに誇れる番組にしていきたいと思ってますね。

〈前編〉 バカリズムの“狂気”で成り立つ、コスパ度外視な『私のバカせまい史』。その全過程を公開「スタッフさんは、どんな番組よりもつらい仕事だと思うけど…」はこちら

取材・文/おぐらりゅうじ 撮影/野﨑慧嗣

〈番組詳細〉

バカリズムが語るテレビ愛「テレビを悪く言う人は、テレビに関わらないでほしい」「必死に流行を取り入れようとすることの方がセンスない」_3

『私のバカせまい史』

毎週木曜日 24時25分~24時55分に絶賛放送中!

バカリズムがMCを務める、誰も調べたことがないような“せま~い歴史”=「バカせまい史」を紹介する、バカバカしくも知的好奇心をそそる新趣向のバラエティー番組。