「ギャンブル性が高いし、コスパも悪い」

――『私のバカせまい史』では、企画会議から参加されていると聞きました。

バカリズム(以下同) 番組が立ち上がってからしばらくは、僕もスタッフさんと一緒に会議や打ち合わせに参加してましたね。

2022年の特番の頃からしばらくは、1チームで企画を練って、そこから各研究員に振り分けていくやり方だったんですけど、レギュラー番組になってからは、扱うネタもかなり増えたので、最初から複数チームで担当するようになり、そこからは他の人のネタは基本お任せしています。僕としては参加したい気持ちはあるのですが、なかなか時間もなくて。

――会議ではどんなことを話し合うのでしょうか。

作家さんもディレクターさんも僕も、まずはひたすらネタの案を出して、その中でどれが広がりそうか、誰が発表するのがいいか、っていう感じですね。最初の特番の頃はとくに、ギリギリまで詰めて、「これは僕やります」とか「これはあの人がいいね」とか。

難しいのは、タイトルの響きもよくて、広がりそうだなと思っても、実際に深くリサーチしてみたらそこまで情報が出てこなかったり、情報はあってもおもしろい結果にはならなかったりがけっこうあって。

逆に、最初はそこまで期待してなかったのに、リサーチの結果、ものすごいおもしろい歴史があったりとかもあるので、蓋を開けてみないと本当にわからない。ギャンブル性が高いし、そういう意味でコスパは悪いと思います。

数多くのレギュラー番組を抱えるバカリズム
数多くのレギュラー番組を抱えるバカリズム
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――毎週のレギュラー番組でそれを続けていくのは、かなり根気がいりますね。

スタッフさんはみんなそれぞれに、タイトルだけのストックをたくさん持っているんですよ。それを定期的に会議で発表したり、ちょっとだけリサーチも進めてみたり、同時進行でいくつも抱えています。

あとは、思いついた時はピンときてなかったけど、時間が経つとやっぱりいいかもと思えてくるネタもあるので。

ちょっと前(11月7日)に放送された「野呂佳代の女優風いじり警戒史」なんかは、前々からストックとしてはあったけど、しばらく寝かせていたネタです。そうやって、継ぎ足し継ぎ足しで続けていますね。

――リサーチで情報が集まったあと、台本にはどのように落とし込んでいくのですか。

発表する人によって、進め方はそれぞれ違います。僕の場合だと、リサーチ資料をもとに、まずは作家さんにざっくりとしたプロットというか箱書きを作ってもらって、全体のイメージを膨らませます。

そこから追加で調べてもらったり、情報をもとにグラフを作ってもらったり、大幅に手を入れるというか、ガッツリ自分で台本を書きます。

一般的な情報としてはほとんど意味がないことでも、この番組的におもしろくなることはたくさんあります。それが番組を続けていく中で、だんだんとスタッフさんとも共有できるようになり、コツもわかってきているので、最近は「このグラフも作ってみました」「そうそう、こういうのほしかったんですよ」みたいなこともけっこうあります。

収録が近づいてきて、これ以上は広がらないって悩んでいるときに、本筋とは全然関係ない情報が、意外とおもしろく使えるかも、って思うこともあって、それを掘り下げてネタとして発表しちゃう、っていう。