自分たちの漫才をイチから見直し
そして蓋を開けてみれば、サンドウィッチマンが敗者復活戦からチャンピオンになるというM-1初の快挙を成し遂げました。僕は、決勝の舞台でどっかんどっかんウケているサンドウィッチマンを見て初めて、M-1決勝のステージに立つ権利をもらえた気がしたんです。
以前から立てるつもりでいたけど、それは勘違いやった。今度こそリアルに決勝の舞台に立っている自分の姿をイメージできていたのに、行けなかった。こんなにも悔しさを感じてこそ、本当の意味で、あのステージに挑めるんやな、と。
そこから自分たちの漫才をイチから見直し、構築し直す試みが始まりました。まず、自分たちの代名詞だった「イキリ漫才」を捨てることにしました。
イキリ漫才は路上や劇場ではウケていたけど、どうもM-1には向かなかった。特に2007年はイキリ漫才の集大成、マックスを出したつもりだったのに敗退してしまいました。
当時、僕らはよく「NON STYLEは上手いだけだからな」「NON STYLEのネタは台本があれば誰でもできる」と言われていました。
「上手い」というのは、「独特」とか「個性的」とかではなく、「技巧的でそつがない」という感じがする。決して褒め言葉ではありません。いくら寄席でウケていても、そこがずっと引っかかっていたんです。
面白いだけではダメ。上手いだけでもダメなんや。マックスを出し切ったつもりのものを続けても、しょせんは焼き増しにしかならん──。
だから、いったんイキリ漫才は封印しようという判断でした。