いまだ根強い八王子での萩生田人気

一方で有田氏は、八王子の多くの市民団体と政策協定を結び、共産党や社民党も候補者を立てず有田氏支援に回っている。

有田氏は15日夕にはこれらの団体や他党と行なった演説会で、若者の自殺の多さや介護制度の不備を挙げて政治の責任を指摘し、「真っ当に働く人が報われる社会に変えなければならない」と訴えている。

「有田氏は裏金で攻めたい立民の戦略の象徴であるとともに、広く市民団体が求める生活に密着した公約も前面に出す必要があります。このため野田氏が加わった党の演説と、他団体と一緒の公約を訴える演説を分けたようです」と立民関係者は話す。

有田氏を迎え撃つ萩生田氏は、裏金問題で4月に党から1年間の役職停止処分を受けていた。

処分はこれで済んだかと思われていたが、衆院解散直前の10月6日になって総裁に当選したばかりの石破氏が、萩生田氏を公認しないと発表し、自民党の看板は使えなくなった。

第一声で「何もないところからの再出発」だと萩生田氏は苦境を訴えたが、実態は少し違う。

街宣車の上からお詫びをする萩生田光一氏(撮影/集英社オンライン)
街宣車の上からお詫びをする萩生田光一氏(撮影/集英社オンライン)

15日午前、同じJR八王子駅北口で有田氏からやや遅れて行なわれた萩生田氏の街頭演説には、平日の日中にもかかわらず開始の30分以上前から100人規模の聴衆が集まった。

70代の女性は「萩生田さんはそれこそ地元のために一生懸命やってくれました。他から来た人がポンと来て何ができるんですか。だいたい、萩生田さんが悪いとかいうのは、報道が偏りすぎているんですよ。

あんなに自民党のためにやってきた人を処分するなんて。それでも私たちは“自民党の萩生田さん”ではなく“八王子の萩生田さん”を応援しますよ」と興奮気味だ。

そこへ到着した萩生田氏が乗る街宣車の看板には、所属党の表示は当然ないが、「比例代表も自民党へ」と書かれている。

「比例代表も自民党へ」と書かれた萩生田光一氏の街宣車(撮影/集英社オンライン)
「比例代表も自民党へ」と書かれた萩生田光一氏の街宣車(撮影/集英社オンライン)

街宣車の前や上には10人以上の自民党の八王子市議や東京都議、国会議員、地元商工会議所トップが並んだ。

応援演説に立った有村治子参院議員は「私は党両院議員総会長として全国の選挙応援にうかがう予定です。

すべて依頼を受けて選挙応援しますが、一か所だけ、依頼ではなく志願して応援に入らせていただく第一声がこの八王子です。萩生田光一とともに日本を守りたい。その一心です」と訴えた。