安倍昭恵氏も”参戦”

マイクを持った萩生田氏は「派閥のルールを踏襲したとはいえ、どこかで考えなければならなかったと反省しております。お詫びを申し上げたい。しかし意図して裏金を作るとか私的流用を図るとか、ましてや脱税だとか、このような事実は一切ございません」と弁明した。

そのうえで、八王子のインフラを充実させてきた実績をアピールし「批判をするためだけにこの八王子を選んだ野党候補がいいのか、皆さんの声を国政に届けることを仕事としている私、萩生田光一がいいのか、市民の皆さんに判断していただきたい」と強調。

支持者と握手する萩生田光一氏(撮影/集英社オンライン)
支持者と握手する萩生田光一氏(撮影/集英社オンライン)

2か所目の演説では「私を国会に戻すかどうかを決めるのは自民党や石破さんではない。この地域の皆さんです」と口にし、石破首相に抱く複雑な感情を隠そうとしなかった。

地元の古参自民党員が言う。

「萩生田くんは党の東京都第24選挙区支部の代表の立場はそのままで、党本部から支部に来る資金の采配ができる立場です。選挙に臨む条件が大きく不利になることはないでしょう。

萩生田くんの系列の市議らも後援会組織を萩生田応援でフル回転させています。これに、推薦は出していませんが公明党さんも変わらず支援をするはずです」

萩生田氏の陣営が16日に開いたメディア取材NGの後援会の会合には安倍昭恵氏も出席した。

「昭恵さんは、河口湖の自分たちの別荘に萩生田さんが奥さんと一緒に来たときの思い出を話しておられました。会場のスクリーンには安倍さんの映像も映し出されて昭恵さんは涙ぐんでいましたね。

政治的な話はなく『主人の後を引き継ぐのは萩生田さんだからがんばってほしい』と呼び掛けていました」と、出席した樫﨑博・八王子商工会議所会頭は会場の様子を話した。

公示前の13日には安倍氏に近かった保守派の大物、櫻井よしこ氏も応援に入り「有田芳生という共産主義者のような人が闘いを挑んできている。万万が一、百万分の一でも萩生田さんが負けることがあったら日本国は終わりだ」と有田氏を非難。

同時に、「安倍総理が『この男だけは絶対に総理にしてはならない』と言っていた人が少なくとも2人いました。石破さんと河野太郎さん。河野太郎さんは今回沈んでしまったと思いますけれども、石破さんが(首相に)なってしまった」と、石破首相もこき下ろした。

17日には総裁選で石破氏に敗れた高市早苗・前経済安全保障担当相も萩生田氏の応援に八王子入りする予定だ。

東京24区には、ほかに維新、国民民主、参政の各党の公認を受けた新人と無所属の新人も立候補している。

石破首相(本人Facebookより)
石破首相(本人Facebookより)
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逆風を浴びる自民党にあって、地元組織の足腰が試される萩生田氏の当落の行方は、与野党間だけでなく、党内で角を突き合わせてきた石破首相と旧安倍派との今後の力関係にも大きな影響を与えそうだ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班