税収面では「ディズニーにおんぶに抱っこ」ではない?

「高齢化は日本全体の問題なので、舞浜だけ際立っている印象はありませんが、このあたりにも宅食のトラックなんかはよく停まっていますし、周辺に店がないということで買い物難民になっている方もいるとは思います。

ただ、橋一本渡ればスーパーがありますし、今は3000円以上買ったら配達してもらえたりとかもするので、お米とかお水とか重たいものは配送にしたり、いろいろ工夫されているようです。山間部で本当に買い物が大変な地域に比べると、まだ恵まれていると思います」(地元市議会議員)

高齢世帯が増えていることを如実に印象付けるエピソードも話してくれた。

東京ディズニーランドへの道を示すゲート(撮影/集英社オンライン)
東京ディズニーランドへの道を示すゲート(撮影/集英社オンライン)
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「土日や休暇期間になると、けっこう他県ナンバーの車が停まっていたりして、高齢になった親の様子を見に来られるお子さんとかもいますね。住宅に関しても、詳しい年数までは把握できていませんが、確か造成は舞浜2丁目から始まっていて。ディズニーの開園と同時期なので40年くらい経っていますから、古くて建て替えをされるところも目立ちます。

でも、老人クラブや自治会の参加率は高くて、アクティブな高齢者の方が多いですよ。会館ではしょっちゅう何かやっていますし、1年に1回はバス旅行を企画したりとか。ディズニーに行くツアーは、なかなか聞きませんが…(笑)」(前同)

東京ディズニーリゾートといえば、浦安市からすれば“財源”として恩恵を受けている側面も否めない。コロナ禍真っ只中の2020年9月には、東京ディズニーリゾートが同年2月から長期休業するなど、観光業の落ち込みにより浦安市が税収減に見舞われたことが発表されている。その規模は法人市民税を中心に約42億円と、市の当初見込み税収の422億円の1割にもあたる。

これは、いかに東京ディズニーリゾートの存在が大きいかうかがえる数字であり、市民はパークに行かずとも大きな“恩恵”を受けている。だが、前出の議員はこうも話す。

「もちろん、ディズニーリゾートと周辺ホテルなどの波及効果で税収面の恩恵はあると思いますが、東京ディズニーリゾートの近くには鉄鋼業が集まっていて、鉄鋼団地なんかもあるんですよ。

そういったところの法人市民税や固定資産税も少ないわけではありませんし、住民の所得も高い方が結構多いので、所得税も確保できているのではないかと。住宅も分譲が圧倒的に多く、固定資産税が集まりますから、そこは他の町とは違うところかなとは思いますね」(前同)

華やかで幻想的な“夢の国”だが、わずか数百メートル先では、日本社会の抱える問題が映し出されている。開園50年周年、60年周年と迎えたとき、舞浜周辺はどのようになっているのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班