教育委員会は「食い違いがある」「誰の意見が正しいという判断をしない」
神奈川新聞の9月16日の報道によると、女児は友人とともに休み時間に図書室にいたところ、6年生の男児3人が近づいてきて服の上から下半身を何回も触ってきたという。この出来事について女児と友人がSNSでやり取りをしていたのを保護者が見て学校に連絡。保護者と学校、さらに学校側が男児やその保護者などに聞き取りする場が持たれ、男児のうち2人は「女性の身体に興味があった。以前にも他の女子にイタズラしたことがある」と“犯行”を認めたという。
その後、6月に入って同校で避難訓練があり、教員に誘導された女児がこの男児たちと教室で鉢合わせしてしまった。このことから体調が悪化し、女児は女性職員の付き添いがないとトイレに行けなくなってしまった。
その際、担任の男性教諭から「トイレまで加害者が来るわけないだろ」と言われたことで、女児は深く傷ついた。さらに7月の夏休み前に教員らが女児を呼び出し、男児らの「反省の言葉」を代読したことで、女児は「もう(男児たちと)関わり合いになりたくない」と再び恐怖心を抱いたという。
こうした報道に対し、茅ヶ崎市教委は概ね事実関係を認めながら「(3人のうちの)加害児童によっては(行為をした場所は)図書室ではない場所を言うなど、一部食い違う点もある。また、教師の中に『トイレまで加害者が来るわけないだろ』といった発言をした者はいないなど一部報道と違う点もあるようだ。教育委員会としては中立性や信頼性を保つために誰の意見が正しいという判断をしない。ただし加害児童にはそれぞれ特別指導を実施し、被害児童への心のケアを怠らずにしていく。子どもの気持ちを第一に、安心できる環境作りを保護者とも共有しつつ行なっていきます」などと話した。
今回の“事件”について、公認心理師でスクールカウンセラー経験もある荒谷純子さんは自身の経験を交えながら、こう語った。
「私が非常勤講師として学童保育の現場で働いていたときも、男児と女児がお昼寝で使う押し入れの布団の中で互いの性器を見せ合っていることが発覚したことがありました。この場合は加害と被害に分けられないケースですが、小学生は男女とも心身の『激動期』で、性的な興味も増幅しやすい時期です。二次性徴であるホルモンの増殖や感情増幅は女児は7~8歳から、男児は10歳ぐらいからと、女児のほうが早いくらいです。このケースは学童だけでは解決できないので、学校へ引き継ぎ、保護者も含めて話し合いがなされたようです。
スクールカウンセラー時代には、小3の女児同士が体育館の裏でお互いにパンツを脱ぎ合い、性器を見せ合っていたこともありました。このような『見せ合い』は、合意なく触るといったこと以上に、子ども間ではありがちなことかもしれませんが」
しかし、こうした行為もトラブルに発展しかねないため、荒谷さんは『プライベートゾーン』の概念の徹底が大事だと訴える。
「プライベートゾーンとは『他人に見せても触らせてもいけない、性に関係のある、自分の体の大切な場所』と規定されており、厳密には『口』も含まれます。子供に『性犯罪』のことを伝えるのは難しいことですが、『おちんちん(おまた)は大切な場所だから、他の人に見せたり触らせたりしないようにしようね』などと伝えます。
しかし『見たい』とか『触れたい』という感情は人間の成長段階で当然のことなので、それを否定してはいけません。自分の『プライベートゾーン』を見たり触るのはいいけど、他の人のものを見たり触れたりをするのはよくないんだよと伝えることが大切です。また、プライベートゾーンを『いやらしい』『汚い』などというネガティブな言葉で表現するべきではありません」