子どもにとって「トラウマになることもありえる」
今回の事件で、当該保育園の園長は「最初は段ボールの箱の上に座らせていたが動き回るのでふたを開けて段ボールの中に入れた。今思うと、“もの”のように扱ったと思われたのかもしれない」と話したという。
「段ボールに隔離」される子どもの心に与える影響を、専門家はどう考えるのだろうか。
話を聞いたのは、かいこころクリニック西荻窪の院長を務める片倉勲人先生。台東区の「こころの相談室」にて、親子の来所相談や学校・幼稚園の訪問相談を受けていて、児童の精神科医として活躍している。
片倉院長は「子どもにとって、自分を見守ってくれる大人がいない環境に置かれることに不安を感じてしまいます。段ボールのような『箱』に隔離されることは、閉所・暗所への恐怖を掻き立てられ、それがトラウマになることもありえます」と語る。
「感染症対策と子どものメンタルケア、そのバランスを考えてあらかじめ対応策を園内で決めておくとよいかもしれません」
――「保育園に行かせる親に問題がある」という親と、「保育園側の対応に問題がある」という園。そこにはあるのは対立構造でなく、それぞれの役割を一生懸命全うしようとしている姿だった。
出典元
※1 「令和4年版 厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-」 P.161
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf
※2 国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/hfmd-m/hfmd-idwrc.html
取材・文/綾部まと