夫婦で精神科・心療内科を受診「放っておいたらやばい」
「育児の負担を減らそう」
妻がかかりつけ医に相談したところ、「うつ病」と診断されたことがきっかけで、長男は0歳7カ月の時に保育園に入園した。しばらく薬の処方を受けながら、産後うつに対応できる精神科を探していたが、うつ状態は収まるどころかさらに悪化していった。「保育園に連れていきたくない」といいはじめたり、同じ保育園に通う保護者と比べて自身を卑下するような発言を繰り返した。
そんな妻の言動に男性自身もうつ気味になり、イライラを募らせていったが、「自分のイライラを妻も感じ取ってしまうから、見せないことが大事」だと思い、妻の前では平静を装いつつも、母子が寝静まった夜中に隠れてお酒を飲んだ。時にはやり場のない気持ちを物にぶつけてしまうことも増えていった。集中力も低下していき、次第に仕事の業務も滞りはじめるようになった。そんな状態が4カ月ほど続いたという。
「妻の状態を見ていると、『自分はここまでひどくない』と思ってしまったんです。精神科に通って服薬する必要はない、自分の中で解決できる問題だって。だから当時の自分がそもそも育児うつなのか、あまりよくわからない状態で過ごしていました。でも妻に対する尋常じゃないイライラを自覚し始めてから、『あっ、これは放っておいたら自分もやばいな』と気づいたんです」
状況が好転したのは年が明けて、妻が産後うつに対応した精神科の女性医師と出会い、服薬をしはじめてからだった。精神的な悩みを定期的に聞いてもらえる環境が整ったことで妻の心身も落ち着いていき、男性自身もかかりつけの病院に月1回ほど通い、薬の処方に加え、定期的に相談ができるようになったことで次第に落ち着いていった。
「同じタイミングで子どもが産まれた男友達もいたんですけど、相談するという発想に当時は至らなかった。産後のうつは母親の問題と思っていたし、相談しづらいのもありました。実際、かかりつけの医師にもともと精神的な不調を診てもらっていたいたこともあって、運よく相談できました。だけど、かかりつけのない状態で新たに精神科とか心療内科を探して通院できたかと考えると、当時の自分にはその選択肢は思いつかなかったと思います」