「デジタルアシスタントの巻」(ジャンプ・コミックス160巻収録)
今回は、6月20日からお届けしている「彼女は少女漫画家の巻」(ジャンプ・コミックス94巻収録)の続編とでもいうべきお話をお届けする。
……とはいっても、前作が描かれたのは1995年、本作は2007年だ。この2作が描かれた12年の間に、漫画業界の状況は大きく変化している。
本作で描かれているのは主に制作環境について。両さんは、本田の恋人であり人気漫画家の乙姫菜々(おとひめ・なな)のアシスタントを買って出ようとする。
ところが、彼女の漫画制作環境はすっかりデジタルへと移行していて、インクと付けペンを使った作画や、スクリーントーンを張ってカッターで削るといったアナログ技術を持つ両さんの出る幕は、完全になくなっていたのだ。
それでもめげないのが両さんのいいところではあるのだが、デジタル時代に最も注意すべき点に目をつけ、悪巧みを始める。デジタル環境で一番気をつけるべきは、データの消失と流出だ。両さんがどんな行動を起こすのかは、この先を読んでお確かめいただきたい。
また本作では、漫画の読まれる環境、つまりは紙と電子というメディアの変化についても触れられ、変化のなかでも変わらない作品の本質が描かれている。もし本作の続編が現在描かれたとしたら、創作と生体AIをめぐる描写がなされるのだろうか。
それでは次のページから、漫画がデジタル化に舵を大きく切った時代に描かれたお話をお楽しみください!!