暑すぎて中止になっていく日本の夏祭り

最近では夏祭りも学校のプールと同様、熱中症警戒アラートなどに基づいて、祭りそのものや一部のイベントが中止されている。

8月3日には毎年20万人以上の人出で賑わう、群馬県沼田市の夏祭り「沼田まつり」のオープニングセレモニーが熱中症対策のため中止となった。この件について、沼田市役所の産業振興課の担当者が中止にいたった経緯を話す。

「今回のような熱中症対策の試みは今年が初めてとなります。6月頃から会議などを実施しており、熱中症対策について何かしら指標になるものを実行委員会から出してほしいというご意見をいただきまして、7月から指針を作るための会議を行いました。

その結果、国で発表しているアラートなどもありますが、それだけで判断するのはちょっと物足りないということで、気象庁や環境省が発表する予測値、熱中症の警戒アラートに加えて、祭りのエリアに3か所の測定機を設置し、そちらの計測値とも合わせて、判断の材料にさせていただきました。

セレモニー実施の最終判断は当日の午前10時、実行委員会の熱中症対策会議という形で会議を開いて決定をしました」(沼田市役所の産業振興課・担当者)

今年の「沼田まつり」の様子(pepe03さん提供)
今年の「沼田まつり」の様子(pepe03さん提供)

少し前までは、「夏祭りで暑さを吹き飛ばせ!」なんてよく言われたものだが、今では暑さによって夏祭りが吹き飛ばされている現状がある。

前出の担当者に来年以降、“祭り”の日程変更の可能性があるか聞くと、「現時点では来年以降の祭りの日程をどうするかという話にまではなっていませんが、今年、こういった試みをはじめたことで、今後、夏祭りをどうするかという話も出てくるかもしれません」とのことだった。

沼田まつり名物の「天狗みこし」(pepe03さん提供)
沼田まつり名物の「天狗みこし」(pepe03さん提供)

毎年、全国トップクラスの暑さを記録している群馬県ではほかにも、夏祭りの一部中止があった。8月2日~4日にかけて行われ、約48万人を集めた夏祭り「桐生八木節まつり」で、猛暑を理由に、毎年500人以上の参加者が仮装をして町の中を練り歩く人気イベント「ジャンボパレード」が取りやめとなったのだ。

最終日の4日は、全国1位の気温39.2度を記録するなど、酷暑の中で行われた今年の桐生市の祭り。桐生市役所観光交流課の担当者に話を聞くと、やはり猛暑の対策が年々、深刻化していることがわかった。

「ジャンボパレードの中止は過去にも酷暑によって“当日中止”というかたちになったことがあります。ですが今年は、もう3月頃には中止を決定しておりました。委員会の話し合いの中で、今年は猛暑を考慮した内容にするという提言があったのです。

また、ジャンボパレードだけでなく、昨年までは、14時~16時頃まで末広町のやぐらで“八木節の踊り”をやってたんですが、こちらも猛暑・酷暑の懸念で今年から中止になりました」(桐生市役所観光交流課・担当者)