バブル世代の万能感とは
バブル世代と一つ上の新人類世代は、明確に切り離せない部分もある。その意味で、一つ上の新人類世代ではあるものの、バブル世代特有の万能感を持っているのが、北海道日本ハムファイターズ元監督で、大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平を育てた1961年生まれの栗山英樹だ。
大谷に二刀流をやらせたのは、実は万能感がベースにある。
上の世代の名監督である野村克也氏(35年生まれ)や星野仙一氏(47年生まれ)は、「お前はピッチャー、お前はバッター」と、はっきりと役割を分けていた。ところが、栗山元監督は「翔平、2つやっちゃおうよ、何なら外野もやっちゃおうよ」と言い出し、本当にやらせてしまった。
後々話を聞いてみると、「本当に外野をやらせようと思ったけど、翔平がけがしちゃってさ。それがなければ三刀流までやらせることを考えていた」というから驚きだ。
筆者は原監督と交流があり、栗山元監督とは対談の仕事でご一緒したことがあるが、2人とも考え方や話す雰囲気が似ていて、「同じ人と話している」と錯覚するほどだ。
だが、一方で問題行動を起こすバブル世代もいる。「夜の校舎窓ガラス壊してまわった」と先生や大人への反発を歌った尾崎豊の歌『卒業』を、若い頃聴いて育った世代だ。
親になってもその癖が抜けず、教育に納得がいかないと学校に乗り込んでくる、いわゆる「モンスターペアレント」(モンペ)になるケースが非常に目立った。この世代の後、モンペ問題は沈静化する傾向があったため、世代であるが故の現象である可能性が高い。