強くて、かわいい女になりたい

エチカ・ミヤビ
エチカ・ミヤビ
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ファイトを終えたエチカ。見ると複雑な気持ちになるのはわかっているのに、つい試合についてのXのポストやYouTube動画のコメント欄をのぞいてしまう。

「元・男!」

「結局、また男っぽいことしているじゃん」

そんな言葉を目にするたび、エチカは胸をグサリと刺されたような気分になる。

それに比べれば「ブス!」なんて言葉は、うれしくないが、まだマシだ。

わかっている。「おら!」「うりゃ!」なんて叫び声を上げて技をかければ、「男!」「男!」「男!」なんてナイフのような言葉が飛んでくることは。

でも、ありのままの自分を出すのがプロレスの魅力。そこについてはエゴイストでなければならない。おかしいくらいに熱狂している人間でなければ、お客も熱狂してくれない。

ムカつくから殴る。痛てぇから叫ぶ。それでいいじゃないか。女だって、危険を感じれば大声で抵抗の声を上げ、手足をバタバタさせて必死に抗うじゃないか。

エチカが目指すのは「かわいくて、強い」女子プロレスラー。その道に迷いはない。ひたすらに自分の信じた道を進めばいい。

だけど、まだ「自分はどう見られているのか」と気になってしまう弱い自分がいる。だから、つい今日もコメントを見てしまう。

それはプロレスラーとして、まだ自分が未熟な証拠だ。

いつか、自分に「男!」とヤジを飛ばす客にも、そんなことを言わせないくらい、めっちゃかわいくて、めっちゃ強い女子プロレスラーになりたい。いや、なる。「もともと男?そんなの関係ないじゃん」と言われるくらい、魅力的なプロレスラーに。

だから今日も弱い自分を認め、受け止め、立ち上がり、もっと素敵な女になるために鏡に向かい、もっと強くなるためにリングに上がるのだ。