知られざる旧統一教会の“軍事力”

――有田さんの著書「誰も書かなかった統一教会」に詳しく書かれていますが、旧統一教会は過去に高い殺傷力を持つ空気散弾銃を大量に輸入していた事実もあります。

その総数はじつに約1万8000丁にもなり、1968年には約1000人の信者が警察署に散弾銃の所持許可申請を提出していたことが国会質疑などを通じて明らかになっています。

また、教団はピーク時に25店(教団内部資料では38店)の銃砲店や会員制射撃場も保有していた。勝共連合には非公然活動を行う「特殊部隊」があり、定期的に軍事訓練を行っていたという内部証言もあります。

「解散命令という“Xデー”に備え、教団内の緊張感は高まっている」有田芳生が語る”旧統一教会の現在地”_3
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なのに、世間もメディアも旧統一教会への関心は日々に薄れ、「空白」の状況となっている。問題の多い献金問題も、7月1日にNHKのインタビューに応じた勅使河原秀行教会改革推進本部長が「教団への献金総額は安倍元首相銃撃事件前に比べて、3分の1にまで減っている」と胸を張るものの、その一方で信者が韓国に渡り、教団本部施設などに直接献金する額が月間1億円を超えていることも認めている。

「献金しないと家族が地獄に落ちる」などの脅迫めいた言い方で教団から過度な献金を強いられ、生活が破綻したという信者の悲鳴がいまだに絶えません。

献金額が3分の1に減ったとはいえ、献金集めの手法は旧態依然のままで、旧統一教会の反社会性は変わってないと言うべきでしょう。なのに、教団への世間の関心は日に日に低下している。これは、じつに憂うべき状況といえると思います。

取材・文/集英社オンライン編集部
写真/shutterstock

誰も書かなかった統一教会
有田 芳生
誰も書かなかった統一教会
2024/5/17
1,056円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4087213140

無関心=空白の30年間が招いた安倍元首相銃撃事件から2年。
闘い続けるジャーナリストが、政界への浸食、北朝鮮との関係、組織の武装化まで教団の素顔を暴く!

◆内容◆
2022年7月の安倍元首相銃撃事件後、統一教会 (現・世界平和統一家庭連合)と政界の癒着を中心に多くの報道があった。
だが、メディアが報じたのは全体像のごく一部だった。
教団をめぐる多くの問題が残されたまま事件の風化を憂慮したジャーナリストが、教団の政治への浸食の実態、霊感商法の問題はもちろん、「勝共=反共」にもかかわらず北朝鮮に接近していた事実、教団の実態を早くから認識していたアメリカのフレイザー委員会報告書、教団関係者による銃砲店経営、原理研究会の武装組織、「世界日報」編集局長襲撃事件、公安が教団関係者を調査していた事実等、その全貌を公開する。

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