販売当初のキャッチコピーは「脱パン(パンツ)するぜよ!」
25歳で渡辺貸衣装店に嫁ぎ、結婚式などで使われる絹製の衣装を扱う中で、その肌触りの良さを感じていた渡辺カリンさん。
それが後に女性用ふんどし開発にも活きることになるが、ことの始まりは90代の義祖母を自宅で看取った40代のころだという。
「亡くなる前の祖母は、歩けなくなったことで行動範囲が狭まってしまい、それがとても残念そうでした。なので、私は生涯健康に生きるには40代からの健康意識を高め、実行するのが大事だと思い、自力整体というボディワークに通うようになりました。それをきっかけに知り合った方から『ふんどしパンツ』の存在を知って、私も身につけるようになったのです」
自身は「ふんどしパンツ」を身につけ、その開放感や鼠径部の締めつけのなさによる血流の改善などを感じた。だがそれと同時に「絹製で作ったら、もっと肌触りがいいのでは」と思いつく。
「私が出会った『ふんどしパンツ』は綿製でゴワつきがあったんですね。貸衣装時代から絹の気持ちのいい触り心地を知っていたからこそ『絹製のふんどしを作ってみたい』と思いました。
そうして2010年に初めて絹製ふんどしを開発。当時、大河ドラマ『龍馬伝』が放送していたことにあやかって『脱パン(パンツ)するぜよ!』というキャッチコピーのもと、3500円くらいで売り始めたのです」
絹製のふんどしパンツで3500円は、原価率無視どころか赤字である。しかもその時に作った商品はファッション性には欠けていたようで、試行錯誤した後に2013年に現在の『咲楽姫』という商品を開発。1枚につき2万円から3万円もする高級品だ。
「それまで『もっこ型』といって、ちょっとトイレ時に不便なデザインだったのですが、『咲楽姫』では鼠径部をもう少しシャープにして、ゴムを内臓したひもで両サイドを結ぶタイプと結び目のないループタイプの2種類を作りました。
売り始めたころは、注文は月に1つ入ればいいほうで、それでもいつか注目されるはずだと信じていました。初期はほぼ受注生産のような感じだったのと、店舗ではなくオンラインショップでの販売でしたので、資金繰りに困るといったこともありませんでした」
その後、2016年に大きな波が来たのだという。













