「人生の最期までコスプレをしていたい」

──心臓に持病があるとの公表、率直に驚きました。病気発覚から考えてきたことについてうかがえますか。

みかんくん(以下同)
 私はコスプレイヤーとして活動しながら、平日はIT系の企業で会社員をしています。3〜4年前に会社の健康診断を受けた際に、心臓超音波(心エコー)で異常が発見されました。当時も今も、息苦しいとかだるいという症状がなく、突然のことで戸惑ったほどです。

心機能が落ちると全身に血液を送ることが難しくなり、左室駆縮率(LVEF)という値が下がってきます。ちょうど不整脈なども出てきていたこともあり、カテーテルアブレーション(心臓カテーテル)を行いました。洞結節という部位を焼くことで機能低下を防ぐねらいがあったのです。

ところが洞結節を焼いてもLVEFの低下は止まらず、医師からは「この数値で息切れとか症状は出ないの?」と心配されるほどになってしまいました。結局、さまざまな検査をこれまで行ったのですが、なぜ心機能が低下したのかは不明なんです。

──現在、慢性心不全の自覚症状はないとはいえ、今後が不安になると思います。不安とはどのように折り合いをつけているのでしょうか。

そうですね。医師によると心不全は徐々に進行していくようで、気づかないうちに心臓の「しんどさ」に身体が慣れてきている可能性もあります。もしそうだとすると、いずれ現在のようにはコスプレ活動ができなくなるのではないかとも思います。

また、心臓カテーテルが奏効しなかったので、投薬治療を主体としなければならないのですが、薬には血圧を下げてしまう副作用があるため、もともと低血圧である私にとっては日常生活への支障が大きくつらいです。

みかんくん氏
みかんくん氏
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ただ、光明がないわけではありません。暗い気持ちになるときもありますが、前向きな発言ができるようになりました。たとえば活動を応援してくれる人のなかには、さまざまな持病を抱えて人生を楽しんでいる人もいます。そうした人たちを勇気づける存在でいられたらと思っているんです。

それに、仮に活動が制限されたとしても、コスプレがまったくできないわけではありません。“宅コス”といって、自宅でコスプレを楽しむ方法もあります。心機能が低下していくなかでも、人生の最期までコスプレをしていたいという気持ちは、むしろ強まっています。

それから、やはり子どもの存在は大きいですね。いつまでも元気なお父さんでいたいなと思えるんです。