「購入履歴を復元してください」と小林製薬に求めても…
さらに小林製薬の対処を巡っては、このサプリを飲んでしまった人も強い不信感を抱いている。約2年半以上、通信販売の定期購入で紅麴コレステヘルプを飲み続けてきた50代の女性Yさんが話す。
「私は2月上旬にめまいと嘔吐がひどくなり出社できない時もありました。尿の色が茶色になって異変を感じていて、3月上旬に健康診断を受けたのを機に摂取を控えていたのですが、3月下旬に会社の発表がありました。
めまいが残り、疲れやすくなったという自覚症状があります。また私がこのサプリを勧めた友人の腎機能が低下し心配しています」
そこでYさんは、正確にいつから問題のアプリを飲みはじめていたのか、病院で診断を受けるにあたってできるだけのデータを準備しようとしたという。ところが…
「通信販売での購入者は、小林製薬のホームページから自分の購入履歴を確認できるマイページを持っているのですが、今回そこから購入記録を確認しようとしたところ、紅麹コレステヘルプの購入履歴だけごっそりないんです」
Yさんはメールで小林製薬に対し「購入履歴を復元してください」と求めたが、同社はメールでYさんの購入履歴として、購入開始時期や購入された製品のロット番号を知らせ、「回収対象のロット番号の製品はYさんには販売していない」と復元には応じなかった。
これに対してYさんは「会社の対応には疑問だらけです」と憤り、被害が出たという発表が遅れた同社の初期対応にも「多分まだ隠していることあるのではと思えてくる」と疑問を投げかける。
この点について小林製薬にたずねたところ、
「『紅麹コレステヘルプ』」の購入履歴のみを閲覧できないようにする措置をとっている事実はございません。弊社の定期購入をご利用いただいているお客様のマイページには定期購入中の商品が表示されますが、定期購入を中止した場合にはマイページから削除される仕様となっております。
『紅麹コレステヘルプ』を定期購入されていたお客様に関しては、弊社にて定期購入を全て中止させていただきましたため、マイページから削除されております。一方で、購入履歴の情報は弊社側で引き続き管理しており、お客様から購入履歴に関するお問い合わせいただいた場合には、お手紙やメールにて購入履歴の詳細を送るなど、随時ご回答差し上げております」
と回答。マイページでは見られないがデータは提供している、と説明している。
また、3月下旬以降、関連が疑われる死者数が増え続けたのに逐一厚労省に報告しなかった判断への認識をたずねると、
「当初は速報性を重視し、申告内容のみに基づいて行政当局に報告をしておりましたが、行政当局との協議も踏まえ、関連性が遠いと思われる事例に関する報告などもあったことから、より詳細な確認を重視することとし、即時の報告は実施しておりませんでした。ご指摘は真摯に受け止め、今後、皆様からの信頼回復に努めてまいります。
今回、ご報告した経緯としては、リリースに記載のとおり、紅麹関連製品と死亡の関連性の調査・認定が当初想定していた以上に困難を極めており、現時点においても死者数を具体的かつ確定的に特定することができない状況であったため、公表のあり方を見直し、ご報告させていただきました」
と説明した。
♯6でも報じたが、同社の消費者への対応を巡っては、3月22日に記者会見で問題を公表した後も通信販売で定期購入していた人への個別の連絡が遅れた上、会見の数日後になってもサプリの配達が続いたため、記者会見のニュースを知らなかった人の中にはその後も飲み続けた人がいたことがわかっている。
発覚当初から後手に回った対応が目立った事件は、食品健康被害問題で犠牲者が過去最大規模になりかねない恐れも出てきた。
会社の対応によって被害が拡大しなかったか、また、実態把握が遅かったのではないかといった点も今後検証が求められることになりそうだ。
※「集英社オンライン」では、今回の「紅麹」をめぐる健康被害について情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
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取材・文 集英社オンラインニュース班