「騒ぎになっていることも知らず飲み続けてしまった」

「家には(洗眼薬の)『アイボン』とか小林製薬さんの製品がいっぱいあって、信頼していたのにこんなことになって…。私が一番怒りを感じるのは、定期購入をしていた私たちに健康被害の報告があると、なぜ早急に知らせてくれなかったのかということなんです」

涙声でそう話すのは、通信販売で購入した「紅麹コレステヘルプ」を昨春から飲み続け、体調不良に苦しんだという50代の女性Aさんだ。

「健康オタクなみに健康管理をやってきた」と話すAさんは、知り合いの医師から「コレステロール値がちょっと高いね」と言われたことを機に、紅麹コレステヘルプを指定の1日3錠ずつ服用するようになった。

紅麹コレステヘルプ
紅麹コレステヘルプ
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「サプリは続けないと意味がないと思い真面目に飲み続けました。DHAを補う他社のサプリを20年以上飲んできた経験もありましたから。それが、去春ごろから原因不明の倦怠感とふらつき、めまいが起きるようになり、駅の階段を上がるのも苦しいほどでした。以前は元気でゴルフが好きだったのですが、それもできなくなるくらい辛い体調が続きました」(Aさん)

さまざまな検査を受けてもその原因がわからず、50代の若さで「年齢のせいかも」とあきらめの心境にもなりかけたという。

去年9月ごろから今年3月上旬までの3回の検査で連続して尿潜血が陽性になり、紅麹コレステヘルプを飲んで健康被害を訴えているほかの人と同じ所見が出ていたが、腎機能の悪化を示すほかの指標には異常がなかった。よって尿潜血と体調悪化は関連付けられず、このサプリが原因とは疑うこともなかったという。

状況が一変したのは3月24日だ。

「あの日も朝に3錠を飲んで、外出して夕方帰宅すると、月に一回配達される紅麹コレステヘルプがポストに届いていました。ところが夜遅くになって小林製薬からメールが来ていることに気づいたんです。新製品の営業かと思いましたが『使用中止のお願い』と書いてあったんです」(Aさん)

22日に会見した小林社長(写真/共同通信社)
22日に会見した小林社長(写真/共同通信社)

小林製薬はこの2日前の3月22日夕に記者会見で、このサプリの服用者に「腎疾患が発生したとの報告があったため商品を自主回収する」と発表していたが、Aさんは「私はテレビもあまり見ないし、騒ぎになっていることすら知らなかったんです」という。

Aさんの他にも、過去に紅麹コレステヘルプを通販で購入した人の中で、さらに1日遅れて、3月25日にようやく「服用中止のお願い」メールが届いた人を集英社オンラインは確認している。