恒例の氷彫刻イベントにも大きな影響

こうした現象は、東京のみならず他の動物園でも起こっているようだ。7月上旬の午後、関東近郊の動物園に足を運んで園内のスタッフに話を聞くと、動物たちは今、“避暑”に奔走しているという。

「(一部の動物たちは)今はバックヤードに入っています。なんせこの暑さなので、動物たちも屋内に入ってしまって……中は空調が効いてるので、そっちの方が快適みたいです」(園内スタッフA)

野生では厳しい生息環境で生きる動物たちも、ひとたび人間が管理する文明の利器に慣れるとそちらを好むようだ。特に、寒い地域に生息するホッキョクグマは、暑さが苦手なようで……。

「ホッキョクグマなんかは、暑さですぐに中へ戻ってしまうことがありますね。やっぱりこれだけ暑いので、寒いところの動物は特に大変だと思います」(園内スタッフB)

厳しい暑さを示す現象は、上野動物園を出てすぐの上野恩賜公園でも見られている。7日に開催された「第53回全国氷彫刻展夏季大会」だ。

同イベントはNPO法人日本氷彫刻会が主催するもので、コロナ禍での中止を挟み、昨年に4年ぶりの復活を果たした恒例行事。全国から集まった選手たちが135kgある1本の氷を削り、芸術的な彫刻を創り上げ、腕を競い合う。

完成した作品は公園内に展示もされるのだが、この日の東京都心は晴れのち曇り、最高気温は34.4度を記録していた。

この氷彫刻展を訪れた湯島しゆさん(@yushimaosusume)が、Xで現地の様子を投稿すると、その画像は240万インプレッションを超える万バズに。というのも、アップされた画像には、暑さのあまり続々と溶けていった氷彫刻が写っていたのだ。

氷塊として散らばるパーツも(写真提供/湯島しゆさん)
氷塊として散らばるパーツも(写真提供/湯島しゆさん)

作品の中にはもはや原型を留めていないものも多く、東京の夏がいかに厳しいかを雄弁に物語っている。溶けて分解された氷が地面に散乱する様子も見て取れ、早めに来場しないと芸術的な氷彫刻は見られなかったことだろう。

日陰の作品は長時間もったようだ(写真提供/湯島しゆさん)
日陰の作品は長時間もったようだ(写真提供/湯島しゆさん)