事前の情勢調査では小池氏有利も…
このように選挙戦が繰り広げられている都知事選だが、永田町では自民党が告示前に実施した情勢調査に関する情報が出回っている。
筆者が入手した自民党による情勢調査は、6月1~2日、8~9日、15~16日の3回にわたって行われ、投票先として「小池百合子」「蓮舫」「石丸伸二」の3氏と「その他の候補者」、「わからない・まだ決めていない」を挙げた。
その結果、1~2日は小池氏が43.1%の支持を集めてトップとなり、蓮舫氏が33.0%、石丸氏8.1%、その他6.6%、わからない9.2%と続いた。
同じく8~9日は小池氏40.3%、蓮舫氏34.6%、石丸氏9.7%、その他6.4%、わからない9.0%。15~16日は小池氏43.6%、蓮舫氏32.1%、石丸氏8.3%、その他7.8%、わからない8.2%となっている。
この調査を読み解くと、おもしろいことがわかってくる。
情勢調査の結果には、回答者の支持政党別の投票先についても記載されており、小池氏は自民党や公明党の支持層のうち約8割から支持を得ているのに対して、都連が支援を表明している国民民主党支持層からは約4割の支持しか得られていない。
一方、蓮舫氏は立憲民主党、共産党、社民党の支持層のうち約7割から支持を得ているのに加えて、国民民主党支持層からも35%の支持を得ているのだ。
このことから、国民民主党の支持者は小池氏と蓮舫氏で支持が割れていることが伺える。
国民民主党は労働組合の中央組織である「連合」の中でも、「同盟系」という主に民間企業の労働組合によって支えられている。
民間企業は業績を左右するような政府の経済政策に敏感であり、そのことから国民民主は政府与党と協調路線を取ることも多く、野党の中でも政治的にはやや保守的だ。
また、連合は経営陣とともに会社の利益を追求し、その中で雇用環境を改善しようとする「労使協調」の姿勢であるため、共産主義への転換を図る共産党とは相容れず、共産との選挙協力にも否定的となる。