ADHDと診断され、グループホームに入居

さらにネットで住所を知った者から送り主不明の手紙が自宅に届いたり、ネットで住所を知った者が嫌がらせで自宅に押しかけてきたりすることもあった。

「このあたりの記憶が曖昧なんですけど……ホストクラブに通い始めて6年目くらいに自宅にも手紙が来たり、人が押しかけてきたりするようになって。

『もうダメだ』と思って母親にすべてを打ち明けたんです。それで母親が見つけてくれたのが、大石クリニックでした。

はじめて訪れたのは、一昨年の5月。そこで検査を受けてADHDと診断され“衝動性を抑えられない”という自分の特性を改めて自覚したのですが、これまでを振り返って妙に納得してしまいました。

莫大な借金を抱えてまでホストクラブに行ってはいけないとわかっていながら、『なんとかできる、なんとかしよう』と通ってしまっていたからです。どうにかしなきゃと思って、一昨年8月に大石クリニックのグループホームに入居しました」

入所前にスマホを解約し、新たに子ども向けケータイを契約(撮影/集英社オンライン)
入所前にスマホを解約し、新たに子ども向けケータイを契約(撮影/集英社オンライン)

グループホーム入居前にスマホは解約し、現在は必要最低限の連絡を取るために子ども向けケータイを持っている。

日曜日と月曜日は都内の実家で過ごし、火曜日から土曜日はグループホームで過ごす。グループホームでは平日は毎日6時30分に起床。自炊した朝食を食べ、呼気チェック(アルコール摂取の有無の検査)を行なってから、8時に介護系の仕事場に出勤。

夕方まで仕事をして、帰ってきてから再び呼気チェックを行う。そして22時から23時には就寝するという。

「入居してしばらくは朝も昼も起きられなかったし、気分もすぐれなかったです。最初はとてもじゃないけど働けなかった。

お金も1日1000円渡されるだけで、それでやりくりする生活だったので、ほとんど部屋で寝ていました。

1カ月ほどそのように過ごしていたのですが、仕事を始め、お金も1日1000円ではなくまとめて7000円もらえるようになったり、職場で得た1カ月7〜10万円の給料を自分で管理してやりくりするようになるなど、段階を経て回復していきました。それによって、どんどん通常の金銭感覚を取り戻していったんです」

今はもうホストクラブに未練はないのかと問うと、合田さんは少し考えながらこう答えた。

「未練がないと言ったら嘘になる。やっぱり昔の暮らしのような、普通のスマホが持てて、外出が制限されない生活に戻ったら、ホストクラブに100%行かないとは言い切れません。

でも以前のように『なんとかなる』とは思いませんし、手持ちのお金がないことや、迷惑をかけた両親の気持ちを裏切るのかとか、そういう自制心は働くとは思います。私にとって、これが最後のチャンスだと思っているので」

「今ダイエット中で、これは明日の朝用のお味噌汁です」とエノキ入りの味噌汁を見せてくれた(撮影/集英社オンライン)
「今ダイエット中で、これは明日の朝用のお味噌汁です」とエノキ入りの味噌汁を見せてくれた(撮影/集英社オンライン)