カーボンフェースの可能性
カーボンフェースがゴルフクラブの最先端テクノロジーを牽引していることは間違いない。
その蘊蓄とか仕組みについては専門誌におまかせする。これはアマチュアのブログなのだ。
かれこれ10年前の話で恐縮だが、正直、初めてカーボンフェースのドライバーを打ったときには(???)と拍子抜けしたものだ。
えっ、今、芯に当たった?
ボールの飛球線と距離を見るだに、なかなかいい当たりだったはず……だけど、なんか打った気がしなーーーーい!
……というのが、私のカーボンフェース初体験の感想だ。
似たような感想を持った方は結構いたのではないだろうか。
打感や音がもたらすメンタル効果は大きい。
中でもドライバーにおけるそれは格別だ。
ゼクシオのドライバーに根強いファンが多いのは、もちろんその性能もあるけれど、あの特有の「キーーーーン」という澄んだ打音も大きいはず。
まあ、ゼクシオの場合、多少当たりが悪くてもいい音がするので、他プレーヤーの快音にうっかり「ナイッショ!」とか言ってしまって飛球を見たら、どトップだった、なんてこともあるのだけど。
さておき、カーボンフェースの打感について。
ボコっというなんとも控えめな感触が苦い記憶として残っていたのだが……
結論から言うと、そこはものすごく改良されていた!
ちゃんと打った気がする!
しかも!
これがMAXのMAXたる所以か!という体験が待っていた。
ドライバーに引っ張られての、いい振り抜き
まず、アドレスしたときの眺めがいい。
しっかりと後方に張り出したヘッドのフォルムに安定感を感じる。
とりあえず無心で打ってみる。
最初は思い切り右に出て、少しスライスした。基本フッカーの私には珍しい球筋だ。
今回のQi10 MAX ドライバーにおける目玉のひとつが、MOI(慣性モーメント)の数値の高さ。その名の由来にもなってるけど、物質の回転運動に対しての抵抗力を示した数値、MOIが10Kというのは画期的なことらしい。
平たく言うと、このMOI値が高いほど、インパクト時の安定性とやさしさ、ミスヒットしてもクラブヘッド、あるいはフェースが開きにくいということだ。
確かに製品発表会で見せてもらった動画では、インパクトの瞬間のヘッドのブレが従来モデルと比べて本当に少なかった。これがQi10 MAXのやさしさの「新世界基準」ということだ。
じゃあ、なんでいきなり右プッシュ! スライス! それも3連発!
これまで使っていたドライバーとの違いをとっくり考える。シャフトはQi10 MAX ドライバーのほうが少し短く、やや柔らかい印象だ。
(てことは、シャフトをしならせるのがうまくいかず手打ちになってるのか????)
気を取り直して、ヘッド(←これはクラブではなく自分の)をしっかり残すことを意識しながら、ブンっとシャフトをしならせ、思い切り振り抜いてみた。
バシュ、ビューン。
語彙が貧困で申し訳ない。だが、確かにそんな打感だったのだ。
芯を食ったとき特有の手応えのないような振り抜き感で、球がまっすぐ空へ抜ける感じ。
おお! このドライバー、振ってイケるタイプなんだ!
小柄で非力な自分はクラブを振り抜くことが苦手。無理するとトップしたり、チーピンがでたり、いいことはない。
だが、Qi10 MAX ドライバーに関しては、振ることが気持ちよく無理なくできる。これはシャフトとの相性もあるのかも。
よくいわれる「クラブに仕事をさせる」感覚がしっくり来る。
結果としてインドア練習場の計測だが、コンスタントにキャリー145ヤードが出るようになった。たかが5ヤード、でも安定したナイスショットでの飛距離アップは望外の喜び。
下馬評どおりの、ミスが大ミスにならないという安定性も実感し、(多少当たりが悪くてもそこそこ飛んでくしな〜)という謙虚な気持ちがナイスショットにつながる、いいスパイラルも実感中。
今季のエースドライバーとの出会いに感謝。
取材・文/集英社オンライン編集部