「もっと自分のお金を使ってあげたい」「特別な存在でいたい」
その後の取材で、Aの“太客”だった女性Bさん(25歳)に話を聞くことができた。Bさんは「Aは“色恋営業”だった」と話す。
「私はもともと新宿のアパレル店員でした。当時彼氏もいなくて、仕事終わりにそのまま家に帰るのも寂しくて、気を紛らわすために初めて行ったホストクラブが『LOVE』でした。
初回なので何人ものホストがつくんですが、その日は急いで帰らなければいけなくてホストを指名せずに帰ったんです。
席についた数名のホストからLINEが来ましたが、Aだけが『今から少し電話で話したい』と言ってきて2時間ほど話したんです。そして『また来てほしい』と言われました」
翌日もAは「おはよう」「何してるの?」などとマメに連絡をしてきたという。そして数日後『また店に来てくれないか?』と誘ってきたそうだ。
「でも私は今の給料じゃ大金を使えないからと断ったんです。するとAは『お金は俺が渡すから、来てほしい』『会いたい』って…。
店の前で待ち合わせると、Aは本当にお金を3万円渡してきました。その日の支払いは3万円で収まる会計で、Aの優しさを感じてしまいました」
Bさんはその日、Aから帰りがけに“アフター”を誘われ、食事に繰り出したという。
「二人でご飯を食べました。そこで『今日は帰したくない』と言われ、ホテルへ行ったんです。
でもAはホテルで手を出してこず『明日、このホテルから出勤すれば?』と近くのドンキホーテでメイク道具一式まで買ってくれて。彼氏みたいな気遣いをしてくれて、私は完全にAに心を奪われました」
3回目の来店時には、BさんはすでにAにすっかり心を奪われていた。
2万円ほどの会計を自分で支払ったあとも「Aにもっと自分のお金を使ってあげたい」「Aが私を楽しませてくれたように、私もAを楽しませて支えてあげたい」、さらには「Aの特別な存在になりたい」とまで思うようになったBさんは自らアパレル店員を辞め吉原のソープランドで働き始めたという。
「Aに恋心を抱き、もっと稼ぎたいという思いから風俗で働きました。Aは心の隙間に入り込むのが上手だったし、女が自ら風俗で働くように仕向けることが上手だったと思います。
思い返せば、私がAに『好き』と言ったことはあっても、Aから『好き』と言われたことはありませんでした」