「色恋営業ほど厄介なものはない」「ホストは悪質です」
Bさんはその後、一晩で最高200万円もの「シャンパンタワー」や「テキーラ観覧車」などをオーダーし、代金は売掛金として支払ったこともあった。
「Aはその後、私の家に転がり込み、半同棲状態になりました。そうなるとAは本性をあらわし、仕事の鬱憤を私で晴らすかのように『死ね』と首を絞めてきたり、殴ってきたりもしました。私も連日の風俗勤務で心が病み、自殺未遂をしてしまいました。
口喧嘩のなかでAは『客に好きと言ったり、結婚を匂わせれば詐欺になるからやらない』と言っていました。自分に惚れさせて沼らせる手段を使う卑劣な男でした」
そんな生活を送っていたBさんだが、その後、Aが別の女性宅に転がり込んで生活をするようになったことをきっかけに別れることができたという。
Bさんも現在は別の男性と結婚し、新たな生活を始めている。悪質ホスト問題について「色恋営業ほど厄介なものはない。抜けだしづらい沼なのでそれを利用している点でホストは悪質です」と話す。
冒頭で報じた悪質ホストから被害を受けた女性の母親は、武見敬三厚労相らと面会した後にこのように述べていた。
「大学生の娘がホストとマッチングアプリで出会い、交際を始めた。出会った当初、男は身分を隠していたが、ホストだと打ち明けられてからは半年で1200万円もの売掛金を作らされた。
娘に泣きつかれ、警察や弁護士に相談するも受け入れてもらえず、泣く泣く娘とともに店に1200万円を支払いにいった。当時、娘はホストに洗脳されていて、親としては胸が張り裂ける悔しい思いをした」
悪質ホストの取り締まりが強化され、“売掛”が撲滅する日ははたして来るのだろうか。厚労省は今後、若い女性への周知のため相談窓口を設置し、相談にあたる職員に対して研修を行なうなど対応を強化する方針だ。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班