当時、謎を残したナリタブライアンの高松宮杯レース模様

賛否両論が渦巻いた高松宮杯の当日、僕は競馬場にいなかった。その日は休みをもらって高校時代の友人の結婚式に出席していた。レースは披露宴に出席している時に行われたので、テレビの生中継すら見ることができなかった。

あとで4着に敗れたと知った時の感想は「やっぱり」で驚きはなかった。事実、サンケイスポーツで発表した予想で、僕はナリタブライアンを無印にしていたからだ。

その後、録画していたビデオでレースを見た。

スリーコースが逃げ、フラワーパークが2番手につけてレースは進む。ナリタブライアンは抜群のスタートを切ったもののスプリンターの猛者たちのダッシュ力に敵わず後方から4番手の位置で競馬をすることになった。ただ、流れには乗っているようで、武豊は無理に押して前につけようとはしていない。

写真はイメージ。画像/shutterstock
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だが、勝負どころでも前との差はまったく縮まらない。ペースが上がってからの武豊の手は動きっぱなしとなった。3、4コーナーの中間点で先頭に立ったフラワーパークは馬なり。鞍上にいる田原成貴の手はまったく動いていない。直線に入ってようやく追い出されたフラワーパークは、力強い脚取りで後続を突き放していく。

一方、ナリタブライアンは? 外を回したら絶対に届かないと判断したのか、内を通って直線を向くと、そのまま馬群の間を割って脚を伸ばしてきた。だが、時すでに遅し。フラワーパークの脚いろはそれ以上だった。先頭との差はまるで詰まることなく、ナリタブライアンは4着でゴール板を駆け抜けた。

ナリタブライアンの前半600メートルの通過タイムは34秒0。スプリント戦で求められる前半34秒5を切るダッシュ力は見せたが、ラスト600メートルのタイムは、2着のビコーペガサスと同じ34秒2。長距離戦で繰り出してきた33秒台の瞬発力を見せることはできなかった。息の入らないスプリント戦だけに後半の瞬発力につながらなかったといえる。

勝ったフラワーパークは、4コーナーで先頭に立ちながらメンバー最速の末脚(34秒1)を使った。前半で自身の持つ卓越したスピードを生かして先行し、後半もスピードを持続させる。まさに短距離のスペシャリストの勝ち方の見本を見せつけた。これではさすがのナリタブライアンも勝てない。