トラブル相手を幸子さんが中国語や朝鮮語でののしっていたことから…
当事者の誰ひとりに取材することなく、ネットやテレビなどの情報をつなぎ合わせた「コタツ記事」が、凶悪な殺人事件報道でも垂れ流されたという、悪しき前例になりそうだ。
事件は4月16日早朝、宝島さん夫妻の遺体が那須町の河川敷で焼かれた状態で見つかったことで発覚し、その日のうちに宝島さんのほうの身元が確認された。上野で焼肉店や居酒屋など20店舗近い飲食店を展開する「サンエイ商事」の社長で、店を集中させた一角が「宝島ロード」と呼ばれるほど存在感のあった宝島さんが殺害された上、遺体を焼くという残虐な手口だったことが目を引き、新聞やテレビ、雑誌などメディアが取材競争に入ったが、その中で、当初から取りざたされていたのが「トクリュウ」と「外国人」による犯行説だった。
「トクリュウとはSNSなどで離合集散を繰り返し、特殊詐欺や強盗などの犯罪を繰り返す犯罪形態・グループのことです。警察は治安上の新たな脅威になっているとして、去年は露木康浩・警察庁長官が重点捜査の対象に挙げ、犯罪の新たなトレンドになっています」と警視庁担当記者は解説する。
いっぽう外国人犯行説の背景には「夫妻二人を連れ去る乱暴な手口は組織力のある中国マフィアくらいしかできない」「遺体を河川敷で焼くという残酷な手口は日本人らしくない」といった見方が背景にあった。
「遺体発見翌日に平山綾拳容疑者(25)が警察に出頭してきて『名前は言えないが“アニキ”の求めで遺体処理役の実行犯として飲み仲間2人を紹介し、粘着テープなど凶器を購入して自分の車を飲み仲間に貸した』と供述しました。また宝島さんと近隣の店との間で客引きを巡るトラブルが耐えず、暴力沙汰が起きたり双方が“用心棒”のようなヤカラを店に待機させるなど、シノギを巡って拉致・殺害が発注され、それを反社会勢力が請け負ったのではないかという“見立て”が当初出たのは確かです。トラブル相手を幸子さんが中国語や朝鮮語でののしっていたことも、中国マフィア関与の噂に尾ひれをつけました」(社会部デスク)