近づく女帝の最期…?

自民党が東京15区から手を引いた今、補選は岸田政権ではなく小池氏の実力を測るバロメーターと化しており、結果によっては求心力が一気に低下する可能性もある。

さらに、小池氏を告発した小島氏は17日、日本外国特派員協会で記者会見を開き、小池氏が今年の都知事選にカイロ大卒と明記して選挙に出た場合には公選法違反にあたるとして刑事告発することを示唆。「法廷で戦う段階になればすべてを明らかにする」と宣言した。学歴詐称疑惑が東京15区補選だけでなく、都知事選にも直撃することが予想される。

乙武氏の応援に駆けつけた小池都知事(筆者撮影)
乙武氏の応援に駆けつけた小池都知事(筆者撮影)

都知事選をめぐっては、まだ小池氏と争う有力な対抗馬は出てきていないが、立憲は勝つための候補者選定に向けて動いている。

立憲関係者は「前回は小池氏に勝てる見込みがなかなかないまま、これまで都知事選に挑戦し続けてきた宇都宮健児氏を支援することで体裁を保っていたが、今回は小池氏にとって大逆風の選挙となるだろう。本気で知事の座を獲りにいかないといけない」と意気込む。

関係者によると、著名な男性の学者から立憲に立候補の申し出があったといい、擁立の選択肢に入れながら、今後の情勢も見極めて慎重に候補者を選定していくという。

東京15区補選を制して国政に殴り込もうとしてきた小池氏だが、乙武氏の支持が伸び悩んで失速し、さらに学歴詐称疑惑が追い打ちとなって自身の都知事の座すら危うい。

「政治の世界は一寸先は闇」とはよくいうが、この約3週間でここまで周囲を取り巻く環境や情勢が変わるとは、小池氏も3月末に乙武氏を擁立した時点では微塵も予想していなかっただろう。

女帝の力が弱まりつつあるなか、都民はどのような判断を選挙で下すのか。

まずは4月28日、東京15区補選の投開票に注目が集まっている。

取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班