代役や交代をエンタメ化してきたテレビの事情

近年テレビは、代役や交代をエンターテインメントとして消化してきた。

番組の歴史が長くなってくると、どうしても不動のレギュラーでは続けられなくなる。

ときにはレギュラー陣に突発的な事象が発生して一時的に代役を立てるケースもあるし、個人的な事情や番組の事情で交代を余儀なくされるケースもある。

そのときに発生する代役や交代というものは、ある種のイベントとして楽しむことが視聴者にとっても習慣化している。

もちろん『笑点』(日本テレビ系列)の大喜利出演者交代のように番組サイドがハナからイベントにする気満々のものもあれば、突発的に苦肉の策で代役や交代を急遽進めるケースもある。

とくにコロナ禍を境に「突然の体調不良で代役」は日常茶飯事であったし(代役の代役みたいなこともよく起こっていた)、不祥事で活動休止のパターンも頻繁に発生しているのはご存じの通りだ。

(それとこれとを同列に扱うなよと言われるかもしれないが)理由、緊急度合い、円満かそうでないかはどうあれ、「あの人の後任どうなるんだろうね」「代役立てるのかな」「あの人がいいな」「その人になったんだ。意外」「よくこんな状況であの人受けたな」「へー、裏ではこんな議論が……」といったことを、視聴者みんながガヤガヤ勝手に言うところまでが一連の流れとしてエンタメ化していると思うのだ。

視聴者を味方につけた『新婚さんいらっしゃい!』の交代劇

時にはこのガヤガヤが実際の人選に影響を与えるケースもある。

記憶に新しいところでは『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ・テレビ朝日系列)の桂文枝勇退後の後任として、ネットを中心に藤井隆を推す声が盛り上がり、結果的に本当に藤井隆が2代目司会となったこともあった。

また、正式に後任者を発表するまでの間、週替わりとか月替りでつなぐお楽しみ期間を設定するなんてこともある。

顕著な例で言えば『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)3代目秘書の松尾依里佳が降板してから4代目秘書の増田紗織アナが就任するまで実に2年近く、週替わりで異なる秘書が登場した期間があった。タレントやアナウンサーを中心に女性秘書がメインだったが、突然TOKIO(当時)の長瀬智也が秘書を務めるなど人選の意外さも相まって大変に盛り上がった。

こういった取り組みも「代役・交代のエンタメ化」の大きな流れの一つである。

『ちびまる子ちゃん』声優交代、松本人志不在のピンチヒッター…「代役・交代」をエンタメ化して消費してきたテレビ番組が直面する課題_3