売る側と買う側の“メンツの変化”

「去年の10月ごろは警察がメガホンを持って『ここで立ち止まらないでください~』とか言ってきてウザかったし、捕まる友達もいたから『まじヤバイかも』って立つのをやめてた。でもちょうどひと月前くらいから取り締まりが緩くなったって聞いて戻ってきたって感じ。やっぱここが手っ取り早く稼げて楽だから」

この女性は先月、約200万円を稼いだというが、そのすべてをホストクラブで散財。今月も節約生活を続けながら大久保公園に週5~6日は“出勤”していると話す。

(撮影/集英社オンライン)
(撮影/集英社オンライン)

「買う男の人は3月になって一見さんや初心者が増えたけど、売る女の子のメンツは一昨年くらいからほとんど変わってないかな。『おはよー』って挨拶する子もいるよ。たまに普通に待ち合わせしてるだけの子が、立ちんぼだと勘違いしたおっさんに話しかけられてビビッてるのを見ることもあるけど(笑)」(同)

記者も実際、大久保公園近くの韓国料理屋の前に立つ女性に話しかけると、「またですか……」とため息をつかれてしまった。

「私は友達と待ち合わせしてるだけです。さっきもキモイおじさんたちから舐めるように見られて、『お姉さん、遊べる子? イチゴーでどう?』と聞かれました。あと30代くらいの男5人組がこっちを見ながら『めっちゃチャラそう』『マスクしてるからわかんない』『お前話しかけろよ』って話す声がはっきり聞こえてきて……。

私は関西から転勤してきたばかりで、新宿は治安が悪いと聞いてましたけど、まさかここまでとは思いませんでした」

 今、立ちんぼたちが一番恐れていること

夜8時すぎ。大久保公園近くの路地には20人以上の女性が立ち並び、彼女たちを物色するような目をする男性たちも群がってきた。盛り上がりはピークといえる状況か。

警察官がパトロールでやってくると、一時的に散り散りとはなるものの、5分も経てば何事もなかったように元の光景に。

しばらく観察していて気づいたのは、単独で立っている女性が多かった去年までと違い、2~3人のグループで談笑しながら客待ちをする女性が多いことだ。その中の1組に話を聞いてみると、その理由をこう説明する。

グループで客待ちする立ちんぼたち(撮影/集英社オンライン)
グループで客待ちする立ちんぼたち(撮影/集英社オンライン)

「暇な時間におしゃべりできるから寂しくないし、何より警察対策ですね。ひとりでいるよりも、パトロールしてる警官に話しかけられないような気がするから。やっぱり単純に警察が怖いんですよ。私服警官のクオリティが上がってて、もう見分けがつかないんです」

彼女が大久保公園に立ち始めた2年前までの私服警官は、地味なショルダーバッグをかけているなど、“いかにも公務員のような格好”だったようだが、最近は違うという。

「去年あたりから、缶チューハイ片手に酔っぱらったおじさんとか、“買いそうな男”に扮した私服警官が一気に増えたんです。そういうのが『お姉さん、イチゴー?』とか『今日もがんばってるな』とか常連っぽく振るまってくるから、友達も騙されてけっこうパクられましたね……」

潜入捜査のクオリティが上がっているのは女性警官も同様なのだとか。

「以前はビルの影に隠れてこっちを観察してたからわかりやすかったけど、最近は私たちみたいな“ぴえん系”(地雷系)やトー横キッズっぽいメイクやスタジャンを着て、立ちんぼになりすましてるんです。それで客と交渉成立してホテルへ入った瞬間、他の私服警官と一緒に『はい、捕まえますね~』って体を拘束してくる。ホントに恐怖でしかないですよ…」

(撮影/集英社オンライン)
(撮影/集英社オンライン)

そんなリスクがありながらも、今日も彼女たちは大久保公園の前に立って客を待つ。

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 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班