「大谷が気づかないはずがない」は金のないやつの発想

「一平ちゃん、やっちゃったね」

そう話すのは関東を拠点に活動する指定暴力団幹部Y氏。“一平ちゃん”呼びだが、本人と面識があるわけではまったくない。水原氏は賭けに負けて6億8000万という莫大な借金を抱えたと報じられるが、「あんな数字、簡単にいっちゃうよ。だって現金で賭けるわけじゃなくて、ネット上の数字だからね」という。

「博打で負けたヤツは、その負け分を博打で取り戻そうとするものだ。例えば、カジノに100万円持っていって1000万円勝ったとする。そのまま帰れば900万円の儲けだ。

でもそこからもっと稼ごうと1000万を賭けてすべてスルとどうなるか。なぜか1000万円負けた気になるんだよ。人間って不思議だよな。実際は100万円しか負けていないのにね」

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それがカジノにハマっていく人間の心理だとY氏は説明する。

「取り戻すには負け分の倍以上を賭けなくてはダメだ。つまり1000万円の負けなら2000万円だ。そうやってカジノにハマって泥沼になったのが、大王製紙の井川だ」（Y氏）

かつて大王製紙会長だった井川意高氏は、カジノで106憶円を溶かし、特別背任の容疑で2012年に逮捕され、懲役4年の実刑判決を受けた。

水原氏は当初、インタビューを受けたスポーツ専門チャンネルESPNの記者に対し、「自身が賭博で作った借金を肩代わりするため、大谷選手が自ら送金した」と話したと報じられた。

だが翌日には「大谷選手は送金についてまったく知らなかった」と発言を一転させ、大谷選手が送金の事実を知ったのは、開幕戦後にドジャース幹部も参加したミーティングの席だったとした。大谷選手の代理人弁護士は、彼は巨額窃盗の被害者であるとの声明を出している。

「大谷選手はまず知らなかっただろうな。『6憶もの金が自分の口座からなくなっていれば気がつくはずだ』というのは金を持たない人間の感覚だ。持ちすぎている人間は、買い物で何を買ったかなんて細かいことは覚えていない。

もともと桁が違うし、口座には毎月大金が振り込まれるんだから、気がつかないだろう。100万円のうちの600円みたいなものだ。それに口座の操作なんて簡単にできる」（Y氏）

スマホやPCを使えばワンクリックで決済ができる時代だ。あれだけ公私にわたり行動をともにし、頼りにされていれば、水原氏が大谷選手の口座情報やパスワードを何らかの方法で知り得たとしても不思議はないと話す。

「子どもがゲームでいくら課金しても気づかない親がたくさんいる世の中だ。親がIDやパスワードを入力しているところを子どもはどこかで見ている。それと同じで、一平ちゃんも金に困って勝手にやったんだろう。大谷選手もびっくりしたはずだ」

カジノで大金を賭ける人間を数多く見てきたY氏はそう推測する。