優秀な人材をプレイヤーからマネージャーにする言葉

高学歴が会社に入ってから悩みがちなことに、マネジメントの能力がなかなか育たない、という問題があります。

彼らはプレイヤーとしての能力は高くても、マネジメントして人を動かすというのは苦手で、逆に「自分でやった方が早いから」という理由で人に仕事を振ることができず、どんどん自分が仕事を抱えすぎてしまうのです。

こんな場面、みなさんも見覚えがあるのではないでしょうか。

僕 「さすがに仕事抱えすぎじゃない? ちゃんと助けるから、業務の分担もしようよ」
Bさん    「いえ、この仕事は自分にしかできないことなので。自分がやります」

こんな風に、自分で全ての仕事を全うしなければならないと考えてしまって、こちらに仕事を投げてくれないことも多いです。

要するに、

1 裁量を与えても、自由に自分で物事を判断しようとしない

2 だからこそ、プレイヤーとしてばかり仕事をしてしまい、マネージャーとしてのスキルが育たない

3 その結果、自分で仕事を抱えすぎてしまって、人に仕事が振れずにパンクしてしまう

ということですね。こうなると確かに、仕事を抱えすぎて不幸になってしまったり、失敗してしまったりするのも納得できます。

その上、マネージャースキルは会社組織の「上」の人たち、つまりは経営的な視点を持つことを求められる立場の人に求められるものですから、思うように出世できなくなって悩んでしまうということにもつながります。

マネージャーのイメージ 写真/Shutterstock.
マネージャーのイメージ 写真/Shutterstock.

 

頭がいい人は本来「自分の頭で考える能力」が高いはずであり、マネージャーとしての適性はあるはずです。むしろ、高学歴のエリートに求められるのはマネージャー・経営視点を持つことだと思います。それなのに、自由に発想したり、「こんなことをやってみよう」と考えたり、人を動かしたりするのが苦手……。

なんだか矛盾しているように感じるかもしれませんが、それは今までの話を振り返って考えていくとわかってきます。

まず、東大生は怒られるのが怖いのです。「失敗して、怒られたくない」と考えるあまり、自分で考えて判断することを嫌うわけですね。そして、記憶力がいいからこそ、一度失敗してしまうと、その失敗が残り続けてしまいます。

例えば一度自分で自由に考えて行動した結果、失敗してしまったならば、その経験の記憶がずっと頭に残り続けてしまうんですよね。

Cくん    「西岡さん、先方に送る企画書なんですけど」
僕 「え、Cくんもうベテランだから、勝手に送っていいよ?」
Cくん    「いやあ、前にミスっちゃったので、それ以降ずっと不安で……」

というトークはよくあります。失敗するのを怖がるあまり、自分で物事を判断したくない、と考えてしまうのです。