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インターンで急に起きた修羅場

僕の経験をお話ししましょう。以前、東大生たち4人と一緒にある会社でインターンをしていた時のことです。

僕以外のメンバーはみんな優秀で、うまく仕事をこなしていました。僕は他の4人に追いつくのに必死で、力の差に落ち込んだものでした。

そんなある日、社員の方がこんなことを言い出しました。

社員さん「この資料、もっとこういうことを徹底してもらえると嬉しいんだよね。みんな、ここに気を付けてもらってもいいかな?」

まあ普通の言葉ですよね。「あ、そこ気を付けなきゃいけないんだな」と僕は納得して、資料を直そうとしました。

インターンのイメージ 写真/Shutterstock.
インターンのイメージ 写真/Shutterstock.
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しかし、他のメンバーはみんな、無言になって仕事をするのをやめ、こんなことを言い出しました。

Aくん    「えーと、我々はその指示って事前にいただいていましたか?」

社員さん 「え? いや、今初めて言ったと思うけど」

Bくん    「ということは、これって我々側の過失ではなくて、そっちの指示のミスですよね?」

社員さん 「え? いやいや、別にミスって話じゃなくて……」

Cさん    「でも、どちらが悪いかっていったら、我々じゃなくてそっちですよね?」

社員さん 「いや、だからどっちが悪いとかそんな話じゃなくて……」

Dさん    「いや、でも責任の所在ははっきりさせましょうよ。社員さんは、今回の件で過失があったのは我々だと思ってます? それとも、ご自身だと思います?」

社員さん 「えぇ……?」

社員さん涙目。僕、呆然。

「え、お前らどうしちゃったの?」って感じでした。社員さんも若かったんで、「私の言い方が悪かったのかな?」なんて考え出してしまいました。

「いや社員さんは何にも悪くないと思うけど……」と僕は思ったのですが、4人の勢いは止まりません。

その状況を見かねた社員さんの上司は、こんな風に言いました。

上司さん 「あのなあ。ちょっとした指摘に対してそんなワーワー言ってると、社会人としては失格だぞ。誰のせいだとか、そんなどうでもいいことは置いておいていいんだよ」

みんな    「……」

それを聞いてみんな黙ってしまい、何も言いませんでした。ちゃんと言うべきことを言った上司さんも、さっきの社員さんたちも、僕も、「え、どうしたんだろう……?」と思いました。

その場はそれで終わり、その後はなんだかみんな力が抜けたかのように元気がなく、仕事を終えることになりました。

その後、僕は何人かに聞いてみました。「さっき、どうしたの?」と。

すると返ってきたのは意外な答えでした。

みんな    「いや、怒られちゃったのがショックで……」

はい、ここまでの流れを追っていて、「怒られちゃったのがショックだったの……?」と疑問に思う人が多いと思います。

上司から怒られているイメージ 写真/Shutterstock.
上司から怒られているイメージ 写真/Shutterstock.

 一連の流れで、社員さんも上司の人も、みんなに対して軽く注意しただけに過ぎません。注意というにも軽いような、言うなれば「指摘」でしかなかったはずです。なのに、彼ら彼女らは、それを「怒られた」と捉えてしまいました。

このように、高学歴の中には怒られるのを極度に怖がり、怒られた後には大きく落ち込むメンタリティがあります。

また、過度に怒られるのを避けるあまりに、怒られそうになると、逆に相手の過失を指摘したりする場合があります。

僕 「この仕事、こういう形でまとめてほしかったんだよね」

みんな    「それ、先に言ってくださいよ」

こんな風に軽く指摘したつもりでも、「自分の責任になって、自分が怒られた」かのように錯覚し、「きちんと反論しないと自分が間違っていたことになってしまう」と思い込んでしまうわけです。これはやはり、1章でお話しした「労働者としてのスキル」「同僚としてのスキル」がちょっと欠けていると捉えられても仕方がないですよね。

このように、「軽い指摘に対しても真剣に反論してしまう」という、同僚としては嫌になってしまうような傾向を指して、ネットでは「高学歴はプライドが高いから、人から何か指摘されるのを嫌がるんだ」と言う人も多いです。