男だけ… ビッグマックCMの狙いは
日本マクドナルド株式会社広報部の北田七奈恵氏に取材をすると、制作背景について下記の回答があった。
「マクドナルドでは商品のみならずお客様にFUNをお届けできるよう日々取り組んでおります。商品の特性やお客様のニーズ、時代にそった内容のテレビCMやSNS投稿を日々心掛けて取り組んでおります。ビッグマックのテレビCMは、マクドナルドを代表する看板商品のひとつであり、ボリューム満点のビッグマックを多くの方に楽しんでいただきたいという想いから作成いたしました。
最近ビッグマックを食べていないなという大人のお客様にも、改めてビッグマックを召し上がっていただきたく、テレビCMでは、責任のある仕事が続く生活の中でも自分の年齢に限界を設けず、可能性に向かって進み続ける姿を描きました」
つまり、今回のビッグマックCMでは、女性を排除したのではなく、中年男性にターゲットを絞って制作した結果、あのCMの内容になったということのようだ。広告を制作するうえで、ターゲット層を絞るのは当然といえば当然だ。
では、昨年物議をかもした家族のアニメーションの制作意図は…。
「夕方5時から限定の夜マックを、日常のあらゆる場面で楽しんでお召し上がりいただきたいとの想いで『特別じゃない、しあわせな時間。』というテーマのもと作成いたしました。誰かとマクドナルドを食べている時間は、その時はそんなに特別だという意識はなくても、振り返ったときにささやかで幸せな時間だったと感じていただけるように、本作の家族編以外にもマックフライポテト片手に河川敷でおしゃべりをする高校生たちを描いた高校生編という作品も同時期に投稿しております」(北田氏)
こちらも、何気ない日常のシーンをいくつかピックアップするうえで、男女の夫婦と娘で、マクドナルドを食べる様子もそのひとつとしてチョイスされただけ…ということのようだ。ではそもそも、ネット上で物議をかもしていることをマクドナルド側は認識しているのだろうか。
「テレビCMをご覧になった方に、お楽しみいただけたかどうか、どのようにご覧いただけたか、日々確認させていただいております。私たちがお伝えしたいメッセージを大切にしつつ、ご覧になった方々のお声も参考にさせていただき、CMの制作を行っております」
どうやら批判的な声もしっかり届いているようだが、自分たちのまっすぐな姿勢を貫いている日本マクドナルド。今後も、さまざまなCMで我々にテーマを投げかけてくるだろう。
世界を代表するファーストフード店が制作する広告だけにその時代背景を象徴するといっても過言ではない。それだけに誰もが「I’m lovin’ it.」といえる内容を期待したい。
取材・文/集英社オンライン編集部 写真/shutterstock