巨大テック企業が牽引
日経平均株価は3月上旬、史上最高値となる4万円台を記録した。その後、一時は3万8000円台はまで下がったものの、週明けには3万9000円台に上昇して、再び4万円台まで届こうかという雰囲気を見せている。こうした現在の株価上昇は、アメリカの巨大テック企業が好調であることが背景にあると柴山氏は分析する。
「“マグニティセント7”(アップル、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの巨大テック企業7社の総称)が株価を伸ばしており、とりわけ半導体メーカー・エヌビディアの躍進は顕著。
数年前から世界的に“生成AIブーム”が巻き起こり、生成AIの開発に不可欠な半導体の需要が高まりました。その結果、エヌビディアの株価は飛躍的に上がり、今もなお世界全体の株価を大きく押し上げています」
世界屈指の巨大テック企業により、日経平均株価が引き上げられている部分は大きいという。ただ、グローバル展開している日本の“グローバル企業”もまた、日経平均株価を牽引している存在だと話す。
「有名自動車メーカーや総合商社など、グローバル企業は安定的かつ着実に業績を伸ばしており、日経平均株価上昇に大きく関与しています。また、グローバル企業は当然グローバル市場で戦っており、ハゲタカファンドに狙われないため、企業としての信用を獲得するため、自社株買いなどをして株価を上げなければいけません」
こうした経緯もグローバル企業の株価上昇の要因のひとつに柴山氏は挙げる。
「いずれにしても、グローバル企業の利益は国内だけではなく国外に落ちてしまう。利益は伸ばしていますが、日本経済全体を盛り上げることに直結していません。もちろん、そうした会社に勤務している人の給与や賞与には反映されていますが、あくまで一部の人に限られています。下請け企業や従業員には還元されているとは言い難く、好景気を感じられている人が国内に多くないことは、ある意味当然です」