女性向け掲示板の書き込みでDVを受けていることに気づく

 そんなある日、ハルカさんに転機が訪れる。

「ある時、ネットの女性向けの掲示板に、軽い気持ちで夫の愚痴を書き込んだんです。それを読んだ人が『それはDVの可能性がありますよ』と教えてくれて、そこで初めて自分がDVを受けていることに気づいたんです。
 そこから女性相談の窓口を検索して、離婚の手続きを始めました。弁護士に相談しに行き、毎日荷物を少しずつ箱に詰めて、いらないものは極力処分して、実家にも事情を話して逃げる直前まで荷物を実家に送り続けていました。でも、私のモノがどんどん減っていっているのに、夫は何も気づかないんです。荷物を持ち出し終えて、実家に息子を連れて逃げました。その後は離婚調停になったんですが、裁判所のロビーに私と弁護士さんがいたら、夫がニコニコしながら現れて『こんにちは』と声をかけてくるんです。これから離婚をしようとしているのに、どんな態度してんだって。弁護士さんもあんな人は初めて見たと言っていました。それを見た私は、過呼吸を起こしてしまって……別室で休ませてもらいました」

 離婚調停では、おかしなことを言う調停委員に当たってしまった。当時ハルカさんには収入があったが、夫は経済力がなく慰謝料も養育費も払えないため、ハルカさんがよりを戻して面倒を見てあげなさいと言ってきたのだという。しかし、ハルカさんはもう何があっても離婚すると決意しており、納得がいくまで何度でも調停をするし、裁判も辞さない構えだった。夫は弁護士を雇っていなかったこともあり、無事ハルカさんの離婚は成立。それが35歳、生まれた息子が1歳を迎える時のことだった。

 地元に戻ったハルカさんは、実家を出て公営住宅を借り、シングルマザーとして新たな日々を送ることとなった。

(後編へ続く)

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