Mリーグ1年目の目標は、
「チームに迷惑をかけないこと」
2018年7月。私の運命を変えた、Mリーグが発足しました。
そのとき、私はまだプロ1年目。芸能人という偏見に悩まされながらも、必死に麻雀を勉強していたときです。新たな麻雀プロの大舞台に胸をときめかせて、ひとりのファンとしてMリーガーの雄姿を全試合見届けていました。
そして、その翌年。KADOKAWAサクラナイツが新規参入を表明。
ドラフトの結果は、みなさんご存じの通りです。
そう、うれし涙を流しました。
涙を流したのは、MCの張敏賢*さんが、「岡田さんは人気だけではなく実力もある。対局を重ねて、どんどん成長していく姿に努力を感じる」というようなコメントをしてくれたことが身に沁みて嬉しかったから。
だって、まだプロ2年目ですから。実力や経験においては、まったく足りていません。指名を受けたときも、「岡田は戦えない」というコメントをたくさんいただきました。「見返してやりたい!」という気持ちもある一方で、「そうだよね」と自分でも納得してしまった部分があります。
チームメートになったのは沢崎誠*さんと、内川幸太郎*さん。お二人とも連盟の大先輩です。そんな中にプロ2年目のペーペーが混じって、Mリーグという大舞台で戦わないといけない。その重責は、計り知れないものでした。
そこで、私が掲げた目標は、「とにかくチームに迷惑をかけないこと」。
つまり、「ラスを引かないこと」でした。
勝ってプラスを届けるのではなく、ラスを引いて私がチームの足を引っ張ってはいけない。勝ちたいより、負けたくないという気持ちです。
しかし、そう思えば思うほど、打牌*は必要以上に消極的になりました。押すべき局面で押すことができず、加点のチャンスをみすみす取りこぼしては、じり貧になっていく。そんな、負のスパイラルに陥ってしまったんです。
そもそも、麻雀というゲームの性質上、ラスを引かないなんて不可能。そんな不可能を目標に掲げ、それが達成できずに焦る。プレッシャーで体重は激減し、出場第4戦目ではじめてトップを取れたときには、自然と涙があふれるほどでした。
同じ年に、同じくプロ入り2年目で赤坂ドリブンズに加入したまるこ(丸山奏子*さん)と、あるとき、こんな話をしたことがあります。
「相手からリーチが入ったら、すごく嬉しいよね」
普通、リーチを受けて喜ぶ麻雀プロなんて、ひとりもいません。しかし、みんなヤミテン*をしているんじゃないかと疑心暗鬼になり、見えない何かに怯えながら麻雀を打っていた私たちにとって、相手からリーチが入ることは、むしろ大義名分を持って降りることができる安心要素でした。
「岡田は戦えない」という下馬評を覆したい。しかし、いざ対局になるとプレッシャーで縮こまってしまう。やっていることもめちゃくちゃだし、感情もちぐはぐ。もう、どうしたらいいのかわからなくなっていました。
Mリーグがつらい、辞めたい。何度そう思ったか!! そんなときに、私はある痛恨のミスを犯したんです。