コロナとロシアのウクライナ侵攻で日本国籍取得を決意

小原さんは日本の永住許可資格を取得していますが、ロシア国籍です。これまで日本に帰化しなかったのは、ロシアに住む祖父母に定期的に会いに行くため。ロシア国籍がないと渡航の度にビザを取得せねばならず、利便性を追求した結果、日本に帰化をせず永住許可資格を取得していました。

しかし2020年の新型コロナウィルス流行がきっかけで、その考えを改めざるを得なくなりました。日本在住者に一律で10万円が給付されましたがその際、在日外国人にも10万円給付するか否か論争になりました。結果的に給付はされましたが、それを知った小原さんは「今は有事で、そんなときに頼れるのは自分の国籍のある国なんだ」と気づき、日本国籍を取得する必要性を感じるように。その上、昨年末に祖父母がコロナに罹患し亡くなり、ロシアに渡航する必要も無くなってしまい「帰化しよう、ロシアの国籍を離脱して日本の国籍を取ろう」と決意します。そして今年2月、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始――。

「他のメディアでも何度も言ってますけど、僕はもう大反対。侵略だけでなく、これまでプーチンがついてきたウソがたくさん露わになったことも許せない。これまではロシアに行くし、おじいちゃんおばあちゃんに迷惑がかかるかもしれんし、中立な立場でおらんとあかんなと思ってたから、あまりプーチンを批判する発言はしてこなかったんです。ロシア政府に対して負の感情を抱いていても、疑問に思うことはあっても。ロシア、(法律的に)ゲイにも厳しいしね。でも今回はあまりにも逸脱していて『許せないな』と。『ちゃんと言おう』という心境に変化したんです。

【私のウェルネスを探して】小原ブラスさんが「ロシア軍のウクライナ侵攻」を報じる日本のメディアに伝えたいこと_d

ウクライナへの軍事侵攻が始まってからロシアで法律が変わって、海外在住のロシア人が国を批判するのも法律違反になった。なので今、日本国籍を取得するために動いています。僕は自分の持っている国籍は捨てたと思ってます、ある意味その国はもう頼れないもん。今、僕はロシアの大使館に行くことすら怖いと思っている。まるで今、無国籍の人みたい。でもまさかこんな急に、自分がこんな状況に置かれるとは。自分の国にすごい裏切られた。まあ向こうからしたら僕が裏切ったと思ってるんだろうけど」

何を言ったら正解なのかわからない。苦しい、の一言

ロシア国籍を持っていることで、今回の軍事侵攻について「お前、ロシア国籍持ってるんだから責任あるだろ」と言われることも少なくないそう。「個人としてどこまで責任を感じればいいのかわからないのが正直な気持ち」と言う小原さん。「ピロシキーズ」のYouTubeチャンネルの収益をウクライナ赤十字に寄付しています。しかし「あなたがそうやって謝ったり『ロシア人として責任を感じる』と言うと、私達まで申し訳ないと感じないとならない」と、ロシアにルーツを持つ、日本育ちで日本国籍の高校生からメッセージが来たことも。

「もちろんウクライナの現状は見ていられない、可哀想過ぎる、ロシア人としてウクライナの人達に申し訳ない。でも何を言ったら正解なのかわからない。苦しい、この一言です。苦しいけど、私よりもっと苦しいんだよね、ウクライナの人達は。苦しいけど、苦しいと口に出すのも良くないな、と。

【私のウェルネスを探して】小原ブラスさんが「ロシア軍のウクライナ侵攻」を報じる日本のメディアに伝えたいこと_e

メディアの方から取材を受けると『ネットで悪口を書かれたり、差別を受けているんじゃないですか?』と聞かれます。そして『在日ロシア人への差別! 批判殺到!』といった記事になるわけです。善意で書いてくれてるんだろうけど、それを読者は『ウクライナのことはさておき、自分のことばっかり心配しているロシア人』と捉えるだろうし、結果的にロシア人への批判に繋がるんですよ。記事にすることはもちろん大事だけど『それ私達の口から言わせんとってよ、日本の方が自分達でそれに気づいて記事にしてくださいよ』と思いますね」