有力な男性落語家、息子・二代目木久蔵は…

一方、男性落語家では、現在55歳の桃月庵白酒(とうげつあん・はくしゅ)を推す声もある。落語協会に席を置く正統派でありながら、鋭い毒が大きな持ち味で、落語ファンの中では“今最もおもしろい落語家の1人”と評されている。

そのおもしろさとは裏腹に、知名度の低さから独演会会場が少し小さいため、SNSなどで〈落語だけのおもしろさなら昨年の小遊三、宮治二人会に負けていないのに、『笑点』ブランドの差で…〉〈おもしろい割には知名度は低そうなので、白酒師匠を笑点メンバーにして欲しい〉などといわれている。

1席空いた『笑点』レギュラーの座布団は誰のものに
1席空いた『笑点』レギュラーの座布団は誰のものに
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そんな中、これらの予想をすべて覆すような言葉が、当の木久扇から語られた。3月3日放送の『笑点』で、木久扇は新作落語「私の笑点史」を披露。これまでの自分の『笑点』人生を落語風に紹介するという内容だった。

その中で、息子・二代目林家木久蔵について言及。2007年に親子ダブル襲名をした木久扇と木久蔵だが、この裏話として木久扇は、息子から「有名になりたい」といわれ、父親として何とかしてやろうと思い、木久蔵という名前を渡したと明かした。

この溺愛ぶりを考慮すると、自分の後釜を木久蔵に指名してもおかしくない…。ただ、安易な後任選びは本人のキャリアを潰してしまう可能性もある。2016年に故・桂歌丸さんの後任で、当時45歳の林家三平がメンバー入りしたが、これが大きな悲劇を招いた。

その頃、『笑点』ではリモコンのdボタンと連動して、視聴者が出演者に座布団を渡したり取り上げたりするシステムを取り入れたのだが、三平がこのシステムの餌食になったのだ。

他の出演者が座布団を数万枚獲得する中、大喜利で苦戦する三平だけは0枚という日々が続き、公開処刑状態になってしまったのだ。結局、三平はネット上の「おもしろくない」というコメントを受け入れ、「もっと大喜利の力をつけたい」という理由で自主降板するにいたった。

木久蔵に十分な実力があるなら何も言うことはないが、安易に放り込めば三平の二の舞になる恐れがある。『笑点』は出演すればスター化が約束されるような場所ではなく、あくまで培った実力を披露し、切磋琢磨する場だ。

果たして木久扇の後任は誰になるのか。

文/集英社オンライン編集部