令和世代は知らない!? 第2ボタンって何?
令和・平成・昭和世代の卒業式のあるあるエピソードで一番、ギャップがあるのが
「身につけているもの(第2ボタンなど)をもらう・あげる」だ。
昭和世代では2位、平成世代は3位だが、令和世代になると6位という結果だ。
特に「第2ボタン」は20代の同僚に聞くと「聞いたことがあるけど、あげたり、もらったりするのは見たことがない」「コントとかでやっているのしか、知らない」と言われた。
24歳の甥っ子にも聞いてみたが「第2ボタンって何?」と興味なさそう。卒業式で何かあげるとかしなかったか、聞いてみたが「ないなあ。クラスの子や部活の後輩とスマホで写真を撮って、お互いでシェアするくらいじゃない? でも卒業したら会えなくなるからと告白する子はいたよ」という答えが返ってきた。
対して、昭和世代は「第2ボタンね……。自分は誰からも欲しいと言われなかったけど、学校で一番モテていた男子は、次々と女子がボタンをもらいに来ていて、袖口のボタンまであげていました。モテていいなあと思った記憶が……」と50代の男性の同僚。
記者の中学生時代も卒業式といえば、好きな人の第2ボタンをもらうのが流行っていて、女子は好きな子が教室を出るのを見計らって、走って告白+第2ボタンくださいというのが、卒業式によく見られる光景だった。
第2ボタンには、心臓に一番近い位置にあるため「好きな人のハートをつかむ」というゲン担ぎであげたりもらったりするという説や、戦時下の物資不足の影響により学生服で出征を余儀なくされて、第1ボダンだと襟元が締められず上官にだらしないと指摘を受けるため、第2ボタンを形見として大切な人に渡したという説など、諸説ある。
いずれにもして第2ボタン=大切なものというのが共通認識だったが、制服のデザインも学生服からさまざまなデザインに変わっていたり、制服がない学校もあったりするので、昭和の懐かしい習慣にとなっているのかもしれない。
43歳の同僚は「第2ボタンのことは知っています。自分の学校では見かけなかったけど、プリクラの交換や好きな人と写真を撮ってもらうというのはしました。モノより写真がほしいって感じでしたね。第2ボタンをもらうとかないけど、卒業式に告白するみたいなことはやっぱりありました!」
31歳の女性も「第2ボタンや身に着けているものをもらうというのはなかったですね。ふだん携帯やスマホは学校に持ち込み禁止だったのに、なぜか卒業式だけで学校から何も言われてないのに、みんな持ち込んで写真を撮っていて……。そこで思い切って好きだった人に2ショットを撮ってもらうとかありましたね。
まだその頃、携帯の写真をすぐに送信して投稿したりなどできなかったので、後でプリントして交換しました」
と写真に関するエピソードが多かった。
第2ボタンはもう古い卒業エピソードかもしれないが、卒業式=好きな人に告白は、平成・令和でも変わらないようだ。
一方で、昭和世代にとって卒業式は「別れ」「新しいスタート」などへの思いが強く、サイン帳や第2ボタンなど、モノに残して思い出を確かめていた。
対して、平成、令和世代はスマホなどの普及によって卒業後もつながれるため、モノよりもさまざまな体験を共有することに重きをおいているのかもしれない。
そして、どんなエピソードでも、卒業式の思い出は心に残るものだとアンケートや同僚のインタビューを通して感じた。
アンケート調査出典
株式会社ウェブギフト
オフィスギフト公式サイト
取材・文/百田なつき