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一家全員について十分な刑事責任能力がある
親子3人は犯行の計画段階から共謀していたとして同じ容疑で逮捕、送検され、刑事責任能力を問うために先月28日まで鑑定留置されていた。
地検は一家全員に十分な刑事責任能力があると判断したうえで、起訴のタイミングを勾留期限いっぱいの6日まで伸ばし、父親と母親の犯行への関与を絞り込んで内容を精査、起訴に踏み切ったとみられる。
起訴状などによると瑠奈被告は昨年7月1日夜から2日未明にかけ、札幌市中央区のホテルの浴室でAさんの首を刃物で刺すなどして殺害、所持していたノコギリで首を切断して損壊して遺体を遺棄し、一部を持ち帰った。
両親は犯行の共犯として関わったとされ、精神科医の父親は犯行後に車で現場近くまで迎えに行くなど逃走も手伝っていた。瑠奈被告は切断した頭部を自宅に持ち帰って保存、北海道警が家宅捜索で押収していた。
集英社オンラインは昨夏の事件発生当初から現地入りして総力取材、首を切断して持ち去るという猟奇的殺人の動機が「不同意性交」に端を発した「復讐」だったことを突き止め、詳報してきた。エリート精神科医の父と元美術館学芸員の母が、女装癖のある男から性加害を受けた娘の仇讐を完遂した構図だ。
事件を簡単に振り返ろう。
Aさんは妻子ある身だったが「性的に奔放」で、昨年7月1日夜、すすきので行われたディスコイベントに女装して参加。その後、同日午後11時ごろに若い女性とみられる同伴者と犯行現場のホテルにチェックイン、同伴者は2日未明に「先にひとりで帰るので解錠してください」とフロントに電話をかけ、堂々と退室した。
チェックアウト時刻を過ぎた同日午後、不審に思ったホテル従業員が室内を調べたところ、浴室でAさんを発見して通報、駆けつけた札幌中央署員がAさんの首なし遺体を確認し、道警捜査1課が同署に捜査本部を設置した。
この「同伴者」を瑠奈被告と特定するまで、捜査本部はAさんの「性的嗜好」に引っ張られて右往左往した。事件担当デスクが解説する。
「道警は事件を認知した当初、Aさんが女装姿でイベントに参加していたことから、同性愛者もしくは性的少数者の犯行の可能性を重視して交友関係の絞り込みを徹底したものの、容疑者が浮上しなかった。
そのため発生1週間後に現場周辺のクラブや飲食店での聞き込みなどを再度徹底したところ、Aさんが女装したうえで性的少数者を装って若い女性のナンパを繰り返し、苦情が続出してクラブを出入り禁止になるなど、界隈のトラブルメーカーだったことがわかった。なかでも深刻なトラブルに発展していたのが瑠奈被告に対する性的暴行疑惑だったのです」