中国政府が経済状況の悪化を隠蔽?
「中国はトランプ政権のころから米国との関係がぎくしゃくしていたが、遊びに出たい人の意識は政府の思惑とは無関係で、旅行先の一番人気は米国。二番が欧州で、そこまで金がない人が日本に行く。その下の四番手が東南アジアと韓国だ」と語るのは北京の観光ガイドだ。
こうした中、中国政府は今年は春節に絡み、1月26日からの40日間で、過去最多の延べ90億人が移動するとの予測を出した。これだけの規模が動くのなら近隣国の観光業界の期待はいやがうえにも高まるが、実際はこれをはるかに下回っており、現実を反映しない空虚な数字だったといえる。
実はこの「90億人」には自家用車で移動する約8割の72億人も含まれ、しかも昨年までは数字に加算されていなかった、一般道の走行車も今年から加えられた。
「中国経済は明るい、という見通しを示し続けなければならない中国政府が、経済状況の悪化を隠すため春節の移動規模も膨らませたのではないかと言われている」(日本メディア特派員)との見方が主流だ。
こうした”粉飾”を施さねばならないということは実際には逆の動き、すなわち、人々の間でお正月の「出控え」が起きている可能性がある。「上から3番目」の人気だった日本へ観光に行ける層のボリュームは、日中関係が改善しても回復しないことが現実味を帯びているのだ。
すでに日本の観光業界の中では、中国の中産層の団体旅行客に見切りをつけ、ごく少数の富裕層に狙いをつけた高額旅行商品の拡大を模索する動きも出ている。