「今回の事件は本当に残念で悔しいの一言です」

近所の住民らに話を聞いても、この飼い主を悪く言う人はあまりいなかった。近隣に住む30代女性は言う。

「飼い主さんのご夫婦はふだん会えば挨拶して下さる、感じのいい人で、こんなことになって驚いてます。ワンちゃんが増えたり大きくなるにつれて、塀を高くしたり、注意書きの張り紙を貼ったりもしていました。

ただ、ふだんから庭の中でリードをつけていないのは気になりましたが、散歩の際にはリードをして、歩行者にも近づけないよう気をつけていましたよ。でも、報道によれば狂犬病の予防接種をしていなかったなんて…これには驚いてます」

近隣住民の60代女性も飼い主やその妻のことを悪くは言わなかった。

「ご夫婦もとてもよい方々なので残念です。いつも散歩は早朝5時頃と20時頃にしてるんですけど、他の家のワンちゃんたちの散歩の時間になるべく被らないようにしてくれてたんです。

道ですれ違うことがあれば、ワンちゃんを立ち止まって抑えて『どうぞ』と道を譲ってくれたり。塀にも『猛犬がいるから気をつけて』っていう張り紙をしてるし、柵も犬が顔を出せないようにしていたんですよ」

四国犬は狂犬病の予防注射を打っていなかったという(写真はイメージです)
四国犬は狂犬病の予防注射を打っていなかったという(写真はイメージです)

しかしながら、四国犬を専門に扱うブリーダーからは「今回の一件で四国犬のイメージダウンにつながるのは非常に残念だし、悔しいです」という声も上がる。

「四国犬を保存し、守るために頑張って日々活動している私にとってみたら、本当に残念で悔しいです。確かに飼い主以外に懐かない傾向の強い犬種ですが、性質はとても優しいです。

猟犬種としての特性を理解し、管理を怠らず適切な環境で育てさえすれば、最高の相棒となる素晴らしい知能を持つ犬種です。その手間や設備投資を惜しむ人には飼って欲しくないと思います」(四国犬を専門に扱うブリーダー)

続けて、四国犬がいかに貴重かも訴える。

「去年、日本で生まれた四国犬の子犬は175頭で、その内のほんの僅かな犬だけが子孫を繋ぎます。また、繁殖者の高齢化により引退する犬舎が多く、殆どの子犬は血を残すことのない環境に行ってしまうのです。今回の報道によって『怖い犬種だ』とか『噛み癖のある犬だ』なんてイメージが広がってしまったら本当に悲しいことです」