中国人の“爆食い”に戦々恐々
まず最初は、日本には観光で2週間ほど滞在予定で、1本3300円の牛串を食べ歩きしていたドイツ出身のガミッシュさん(37歳)。
「これが高いかって聞かれると、安くはないかもね。でも、日本のレストランはサービスがいいし、接客も親切だし、エンターテインメントの要素もある。単純に料理だけの値段じゃない。それにせっかくの旅行中くらいちょっとは贅沢してもいいと思ってる。日本人だってイタリアに行ったら、5000円のカルボナーラを食べたりすることもあるでしょ(笑)」
5000円のカルボナーラはともかく、たしかに海外旅行に出かけるときは、それなりの出費は覚悟するもの。「安くはない」と思いつつも、満足している様子だった。しかも、円安で日本を訪れやすい今、やはり日本人と外国人とでは金銭感覚が少し違うのかもしれない。
では、日本人はどう思っているのだろうか。
「本まぐろ100%のネギトロが主役の3色丼」(6400円)を食べていた小池秀道さん(41歳)は大阪から東京観光で来たついでに立ち寄ったという。
「めっちゃ高いですね。味は普通においしいですけど、なんせ高いです。さっき地元の友達のグループLINEで写真を撮って送ったんですけど、値段を言ったらみんなびっくりしてツッコんできました。『東京怖いわ』『欧米かっ!』とか(笑)。確かに高すぎるけど、おもしろい土産話ができたんで、それも込みでよしとします」
他にもカップルで食べていた韓国人のふたりは「映え」を意識して丼を何度も撮影し、インスタにアップするのだと張り切っていた。ただ、ご飯を食べるということ以外の付加価値が「インバウン丼」にはあるのかもしれない。
今年の2月10日~17日は中国の春節に当たり、「旧正月で財布のヒモがゆるんだ中国人がツアーで爆買いならぬ“爆食い”に来るかもしれない」と同施設で働くスタッフは戦々恐々としていた。実際、リーズナブルな価格帯の飲食店にはすでに長蛇の列ができている。
2024年に誕生したこの新スポットが、もの珍しい観光地として終わってしまうか、東京の名所のひとつとして新境地を切り拓くか、オープンして最初の勝負どころが今から始まる。
取材・撮影・文/集英社オンライン編集部