日高屋で通常のラーメン店の3倍注文されるもの
関東近郊を中心に400軒以上を店舗展開するチェーン「日高屋」は昨年8月に続き、今年3月にも値上げを敢行した。しかし、その値上げ幅が独特で、そこに1つの哲学を感じる。
中華そば 390円(据え置き)
野菜たっぷりタンメン 570円(+20円)
餃子(6個) 270円(+20円)
チャーハン 490円(+10円)
肉野菜炒め定食 780円(+30円)
唐揚げ定食 790円(+30円)
キリン一番搾り(中ジョッキ) 340円(+20円)
メニューによって10~50円と値上げ幅が異なること、その値上げ幅が元の価格と比例しているわけではないこと、さらには「中華そば」の価格は390円で据え置きだったことがとにかく気になった。「日高屋」を運営する株式会社ハイデイ日高の商品部部長・鈴木昌也さんにこのあたりの話を聞いた。
そもそも「日高屋」の始まりは創業者で現会長・神田正さんが1973年2月にさいたま市大宮区で開店した町中華 「来々軒」。1994年に「ラーメン館」というラーメン専門店をオープンした。
「町中華」と「ラーメン専門店」を展開してきて、神田さんはあることに気付いたという。
「今までやってきた業態のそれぞれのよさを生かして、『ラーメン専門店』と『町中華』の“間”のお店をやろうということになったんです。ラーメンをメインにしながら、炒め物のメニューが少しあるお店です。これが『日高屋』の始まりです」(鈴木さん)
出店は駅前の一等地にこだわり、古くからある「屋台」の代わりになるお店を目指した。お酒を飲む人はおつまみが炒め物だけだと、注文が限られてしまうと考えて、2004年頃からジャンルを問わないおつまみメニューが増えていった。当時はサバの味噌煮やさつまあげ(※現在はともに販売なし)など町中華とも違うおつまみメニューが増え、屋台の代わりになるお店として独自の立ち位置を確立していった。
「『日高屋』は売上高に占めるアルコールメニューの割合が15%になっています。一番多い店舗だと18%です。通常のラーメン店ですと5%程度ですので、その3倍というとても高い数字になっています」(鈴木さん)