炎上効果? 良心的な値段のお店が増加
「あの記事が出てから、ネットで『ぼったくり商店街』って炎上したでしょ? それはここで働く人たちも気にしていて、今は全体的に値段は下がったね」
そう語るのは、黒門市場で長年、鮮魚店を営む50代の男性だ。
黒門市場といえば、江戸時代後期の1822~1823年に誕生し、質の高い“ほんまもん”の品物が手に入る市場とあって、難波の飲食店の仕入れから一般客まで多くの人々が往来してきた由緒正しき商店街だ。
しかし、インバウンド需要の高まりによって、かつての面影は失われてしまっていた。ある旅行業界関係者はこう語る。
「もともと黒門市場は『ある程度高いけど、質のいいモノが手に入る』という安心感があった。しかしインバウンドの影響で、外国人観光客に合わせた“観光地価格”に値上げする店が増えていき、地元の常連客が離れていった。近年では、SNSで『高すぎて行かない』『黒門市場は変わってしまった』などのカキコミも相次いでいた」
集英社オンラインが今年7月に黒門市場の様子についてレポートしたところ、タラバガニ4足3万円、エビ1尾3500円など、観光地価格どころではない強気の値段設定で商売している店が多数見つかった。しかし、現在の黒門市場の状況について、冒頭の男性はこう続ける。
「これまではインバウンド価格でやってましたけど、今は地元の人に買ってもらえるように良心的な価格で商売する店も増えましたね。ある店舗は、毎日16時のタイムセールで値引きしてますし、リピーター客に一品サービスしている店もあります」