落とし穴 ①「実際の参加条件は公表内容より厳しい」
これは、総理大臣官邸報道室に筆者が電話をして、詳細を確認したことですぐに発覚した。
なぜ電話かというと、首相官邸ウェブサイトには官邸報道室の連絡先として電話番号しか記載されていないため、必ず1度は電話する必要があるのだ。
筆者の場合、電話した際に口頭でメールアドレスを伝えて、それ以降からメールでのやり取りがようやく可能となったが、こうした点にも、手続きをあえて煩雑にすることで新規登録のハードルを上げていると思わざるをえない。
以下、官邸報道室 担当者からのメールの一部を抜粋して引用する。
参加をご希望の場合は、別添申込書のほかに、次の①~③も併せてご送付ください。
なお、手続きに1か月ほど頂戴いたしますことをご了承ください。
① 顔写真付きの身分証明書の写し
② 直近3か月間の掲載記事の写し(日本専門新聞協会、日本雑誌協会、日本インターネット報道協会、日本新聞協会の加盟社が発行する定期的刊行物等への掲載で、総理や官邸の動向を報道するものに限る)
③ 記者としての活動実績・実態についての②を掲載した加盟社または媒体による証明(②を発行したことの確認と、推薦状又はこれに代わるもの)
例)「(申込者)は(媒体)に定期的に執筆している」「(申込者)を内閣総理大臣記者会見への参加者として推薦します」といった文言と、媒体の編集者による署名(責任者であればベター)
出典:官邸報道室から筆者への参加条件連絡のメール(一部抜粋)
一読すればわかる通り、ウェブサイトの公表内容に対して幾つもの条件が追加されている。
・①は項目ごと追加。
・②では「直近3ヶ月間」が条件に追加。その一方、登録手続きは1ヶ月もかかると宣言しており、登録の難易度を引き上げている。
・さらに②では「総理や官邸の動向を報道するもの」も条件に追加。しかし、ただでさえ取材機会が限定されているフリーランス記者に対して、総理大臣記者会見への参加より前に、総理や官邸に関する署名記事を求めるのは順番として完全に矛盾している。
・③では「推薦状」の提出が追加されているが、そもそもフリーランス記者から見て、取引先にあたる媒体、編集者の推薦状を求めること自体が一般常識から大きく乖離しているように思える。現に、筆者は実に80本以上の署名記事を寄稿した媒体の編集者にすら推薦状の発行を断られ、署名記事掲載と推薦状の両方を引き受けてくれる媒体を探すことに非常に苦労した。
総じて、「いかに事前登録のハードルを引き上げるか」という観点で練り上げられた条件であると判断せざるをえない。