「お笑いのノリがわからないから歌ネタで手拍子しちゃう」
――タカアンドトシがブレイクし、平成ノブシコブシ、とにかく明るい安村さん、EXIT・兼近大樹さん、錦鯉・長谷川雅紀さんなど、北海道出身の芸人をテレビで見る機会がどんどん増えてきました。ですが、かつての北海道は“お笑い不毛の地”と言われるほどお笑いに縁がなかった土地。30年前の道民のお笑い事情についてうかがいたいです。
タカ ポール牧さんとか極楽とんぼの加藤浩次さんとか、北海道出身の芸人がいないワケじゃなかったんですが、いわゆる「北海道芸人」っていう枠はなかったですね。
トシ また生でお笑いライブを見る習慣がなかったもんですから、先輩芸人が歌ネタを披露していると観客が手拍子しちゃうんですよ(笑)。
お客さんもみんな引っ込み思案で、席の後ろから順に座っていく。一番遅れてきた人が最前列に座るなんていう本州ではありえない現象が起こっていましたから。それぐらいお笑いのノリと見方がわからない人が多かった印象でした。
――お笑いの文化が根付いていない、そんな北海道でお笑いを目指そうとした、と。
タカ もともとドリフターズやとんねるずが好きだったんです。中学のころから同級生を誘って文化祭でコントを披露していました。
そんで中2のときにトシが転校してきて。話してみておもしろかったから、お笑いに誘ってみたら食い気味に「いいよ!」って。
トシ 僕もお笑い番組を観るのは好きだったし、ましてや中学生が言うことだから本気でプロを目指すとも思わなかったんで、軽い気持ちでOKしたんですよ。
そしたら、誘ってきた次の日には陸上部の部活が終わった僕を迎えに来たり、家まで泊まりに来たりして執拗なまでに追いかけてきて(笑)。
タカ んで、そのうち僕が所属していたサッカー部を辞めて暇になり、毎週末にはお互いの自宅でコントのまねごとをするようになりましたね。
トシ 覚えているのは、覆面被って“プロレスラーの私生活”なんてネタをやったことかなぁ。それを8mmカメラで撮影して、テレビにつなげてふたりで観ていましたね。